船員教育のあり方に関する検討会報告

船員教育のあり方に関する検討会,船員教育のあり方に関する検討会報告,2007年3月

目 次

Ⅰ はじめに                                      1
1.船員を取り巻く状況の変化
2.検討の経緯と視点
3.検討会の開催状況

Ⅱ 船員教育及び船員をめぐる現状         4
1.日本人船員数の変化と年齢構成
2.外航船員の減少
3.内航船員不足の現状

Ⅲ 今後の船員教育のあり方                10
1.基本的方向性
2.具体的方策
2-1 実習内容の見直し                    11
(1)社船実習の拡大等による教育訓練の複線化の推進
(2)帆船実習
(3)タービン実習
(4)内航用小型練習船の導入
(5)船員教育機関と航海訓練所の連携の強化
(6)船社と船員教育機関及び航海訓練所の連携の強化
(7)外国人船員教育

2-2 航海訓練所の練習船隊の見直し                          17
(1)タービン練習船の取扱い
(2)内航用小型練習船の導入

2-3 海に対する関心を高めるための措置                    18
(1)海に対する関心の重要性
(2)練習帆船の有効活用
(3)船員志望者を増加させるための方策

2-4 航海訓練所及び海技教育機構の財政基盤の整備     20
(1)自己収入の拡大
(2)経営の合理化・効率化
(3)運営費交付金の削減

2-5 航海訓練業務にかかる市場化テストを含めた民間開放について 21

(添付資料)
1.検討会委員名簿
2.船員教育のあり方に関するアンケート結果概要
3.船員教育のあり方に関する船社ヒアリング結果概要
4.意見概要

Ⅰ はじめに
1.船員を取り巻く状況の変化

・・・内航海運においては高齢化の進展と後継者不足が進み、昭和49年には280,000人を数えた船員は、平成17年には外航では2,600人、内航でも31,000人まで減少している。

・・・内航海運においては、著しい高齢化に加え今後は外航海運や漁船分野からの経験豊富な船員の参入が望めないことから、後継者難と即戦力となる船員の不足が深刻化するとともに、運輸安全マネジメント制度の導入により、安全運航、環境保全などのためのより高度な船舶管理能力が求められるようになっている。

船員は、豊富な海上の実務経験を経て、高度な海技知識や技能を備えた技術者である「海技者」となり、その技術、経験を活かして陸上における船員、船舶及び運航の管理等をはじめとして、水先、造船、保険、港湾など広く海事関係の重要な役割を担い我が国の海事社会を支えているが、船員が著しく減少していることから、このままでは「海技者」の確保についても困難となることが懸念される。

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このような環境の変化に対応して、今後とも海上輸送の安定性、安全性、信頼性を的確に維持していくためには、船員と海技者のライフサイクルを踏まえた制度設計や船員の定着を図るための魅力ある職場環境の整備を図るとともに、船員教育システムの改革を実施するほか、海に対する関心を幅広く高めることにより、優秀な日本人船員を確保・育成し、将来の海技者の確保に確実に繋げていくことが重要である。

2.検討の経緯と視点

本検討会は、こうした環境の変化を踏まえ、関係業界及び関係団体から寄せられる様々なニーズに対応して、国土交通省所管の船員教育訓練機関として対処すべき方向を示す必要があること、また、平成18年3月31日に閣議決定された規制改革・民間開放推進3か年計画では、航海訓練所の業務について市場化テストを含めた民間開放の実施に向けて積極的な検討を行い、平成18年度中を目途に結論を得ることとされたことから、これらの機関における船員教育のあり方全般について幅広い見地からの見直しを行うとともに、長期的視野に基づいた具体的な検討を行った。
検討にあたっては、外航・内航業界ごとに詳細な検討を行うため、外航部会及び内航部会を設置することとし、事前に実施した外航・内航船社に対するアンケートやヒアリング調査の結果も含め 、「船員教育の内容と質」、「船員教育の規模 」、「船員教育に関する制度・組織運営上の見直し」という視 点で意見を集約した中間整理を行って、主要論点について次のような具体的な検討の方向性を定め、検討を行った。
(1)日本海運の現在及び将来の環境変化・ニーズに的確に対応する。
(2)教育の過程(座学・実習・OJT)に応じた教育内容の役割分担を明確にしつつ、それぞれの連携を図る。
(3)行政の減量・効率化の要請にも的確に対応する。
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3.検討会の開催状況
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Ⅱ 船員教育及び船員をめぐる現状
1.日本人船員数の変化と年齢構成

日本人船員数は、昭和49年における280,000人のピークに対して、平成17年には、外航船員が57,000人から2,600人(減少率95%)、内航船員が71,000人から31,000人(減少率57%)、漁船その他の船員では150,000人から48,000人(減少率68%)に、それぞれ減少し、全体では82,000人まで減少している。
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内航貨物船

45歳以上の割合64%

平均年齢:45.6歳

2.外航船員の減少
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3.内航船員不足の現状
内航海運においては、高齢化に加え従来のように外航船員、漁船員等から転向する者も望めないことから、後継者不足と即戦力となる船員の不足が深刻化しているのが現状である。

内航船員供給源の変化

これにともない、内航貨物業界における船員の全国的な有効求人倍率は、平成16年頃まで0.1~0.2程度の低い値で推移していたが、平成17年頃から上昇し始め、18年3月には0.92まで達し、その後は0.8~0.9前後で推移している。
地域別では、中国及び四国運輸局管内において平成18年12月には2.67(中国)、1.78(四国)まで達しており船員不足が深刻化している。
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内航船員の有効求人倍率の推移

これに対して、内航職員の養成を目的とする海員学校における最近5年間の海上就職者数は250名程度(海上就職率80%~85%程度 、海技大学校で )は15名程度(同平均80%程度)で推移しているところであるが、平成17年度には、海員学校で269名(同91%)、海技大学校で22名(同76%)であり、海員学校については漸増の傾向となっている。
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Ⅲ 今後の船員教育のあり方
1.基本的方向性
(1)我が国の海上輸送の安定性・安全性・信頼性の確保、海技の世代間の安定的伝承等の観点から、日本人船員(海技者)を安定的に確保・育成していくことは死活的に重要な課題である。
厳しい気象・海象という自然環境のもとで、人命・財貨の安全・確実で効率的な輸送に係る技能を獲得するためには永年の運航実務経験が不可欠であり、有能な船長、機関長を育てるためには少なくとも10年以上を要するように、船員は高度な能力を必要とされる特殊技術者である。また、一旦世代が途切れてしまうと、海技の伝承ができなくなり、再び技術を確立するには、失う前に比して極めて大きな時間・労力・費用を要することは避けられないこと、他方で、少子化が進む中で海や船に関心を持つ若者をいかに確保すべきかが問われていることを踏まえると、船員の計画的な養成は、海に囲まれた我が国の発展にとって、今後ますます重要な課題となる。船員の養成は、ひとり教育訓練機関のみの問題ではないものの、これら機関においては、より適切な対応が強く求められている。
(2)船員教育の基本的な構成として、必要な海技資格に対応した各種船員教育機関における座学教育と航海訓練所における一元的な航海実習との組み合わせにより国が責任をもって実施している我が国の船員教育システムは、永年にわたり優秀な船員を育ててきた実績があり、能力の高い船員を養成するうえで優れたものであると考えられる。したがって、今後の船員教育のあり方を考えるうえでは、座学教育と航海実習とを組み合わせるシステムを維持しつつ、様々な問題点について抜本的に改善を加え、社会ニーズに応えていく必要がある。
(3)船員教育のあり方について具体的に改善すべき問題点としては、
○ 著しく早まってきた環境の変化に対応して社会の求める人材の養成に向け、教育内容をより実戦的・効率的なものに変えていくべきであること
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今後著しい船員不足が予想される内航船員の確保・育成に重点を置くべきであること
○ 常に社会のニーズに対応した航海訓練を効果的かつ効率的に実施すべきであり、特に、帆船実習は船員としての基本的知識・動作やシーマンシップの習得に効果的であるが、一定の見直しを図り、汽船による実戦的航海技術の習得により重点を置くべきであること等が指摘されており、これらを踏まえ積極的な見直しを行うことが必要である。
また、独立行政法人である航海訓練所及び海技教育機構は、効率的な事業運営と収益事業の強化を通じ、自らの財政基盤の健全化を図ることが必要である。

(4)さらに、外航海運における日本人船員の減少や内航海運における高齢化と後継者不足という状況を踏まえ、各種船員教育機関及び航海訓練所は、海を職場に選ぶ青少年の増加を図るため、海に対する国民の関心を高めることを目的とした活動や船員という職業に興味を抱かせるための活動を積極的に実施していくことが必要である。

2.具体的方策
以上の観点を踏まえた具体的方策は次のとおりであるが、各方策の実施にあたっては、適切な時期に必要な法令の改正、予算の確保を行うべきであるほか、各種船員教育機関における在学生の不利益にならないよう、適切な経過措置を設け、船員教育における座学と実習が円滑に継続するよう十分に配慮する必要がある。

2-1 実習内容の見直し

(1)社船実習の拡大等による教育訓練の複線化の推進
新人船員の供給源や教育訓練に対する船社のニーズが多様化していることを踏まえ、自社船での実習を可能にするという観点から、練習船による実習
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教育を基幹としつつ、教員、設備及びカリキュラムにおいて一定の要件を備えた社船による実習(以下 「社船実習」という)について、航海訓練所に 、おける実習と同等の乗船履歴を認めることにより、教育訓練の複線化の推進を図ることが適当である。
練習船となる社船の具体的な要件については、3級課程においてはすでに新3級制度 の導入に際して 「登 *1 、 録船舶職員養成施設の教育の内容の基準等を定める告示」において基本的に整理されたところであるが、4級をはじめ他の級に係る措置についても、業界のニーズを勘案しつつ、検討を行っていくことが適当である。
また、内航業界における船員不足、とりわけ、航海当直基準の適格者の不足への対応として、関係者の合意に基づき一般高等学校等の卒業生を対象とする6級海技士(航海)資格を取得するための新たな養成課程を平成19年度初期に創設する必要がある。
当該課程の具体的な内容は、次のとおりとし、定員、開催回数等の規模については業界ニーズに応じて速やかに、かつ柔軟に対応することが適当である。
○ 課程は海技教育機構に設置し、課程における必要な教育訓練を、海技教育機構における座学 (1月) +航海訓練所練習船における実習 (2月)で実施する。
○ 課程の対象者は、船員教育機関以外の一般高等学校等卒業以上の学歴を有する者であって、内航海運事業者に雇用(内定を含む)されている者とする。
○ 課程修了者については単独当直を可能とし、その後社船に6か月以上乗船した者に6級海技士(航海)試験の受験資格を付与する。
また、今後の状況に応じ、その他の分野についても、引き続き関係者間で教育訓練の複線化の推進に関する具体的な方策について検討することが適当である。


*1   新3級制度:船会社に雇用されている者(内定者を含む)であって、船員教育機関を除く高等専門学校、短大卒以上の学歴を有する者を対象とした3級海技士養成制度。平成17年7月に海技大学校に開講 (課程期間は航海科2年、機関科2年半)

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(2)帆船実習
帆船実習は、船舶職員に必要な協調性、責任感、積極性、忍耐力、リーダーシップといった資質の涵養に最適であり、船員の教育訓練において大きな意義が認められる。しかし、水産系、海上保安庁など商船系以外の船員教育機関における3級海技士(航海)資格の取得にかかる学校卒業者の乗船履歴には帆船実習が義務付けられていないことを考慮すれば、乗船履歴の特例の要件とする必要はなく、3級海技士(航海)資格の取得にかかる帆船実習の義務付けは速やかに廃止する必要がある。

また、商船系大学の実習生に対する帆船実習については、実習の仕上げの時期にあたる6か月の乗船実習科において実施されているが、就職直前に長期間の帆船実習を行うことは、現代の商船教育にはそぐわないという船社からの指摘がある。さらに、平成19年2月に開催された第12回交通政策審議会海事分科会の今後の審議事項として挙げられている「優秀な日本人船員の確保・育成」に係る「海への関心の醸成」を図るため、具体的な施策の一つとして練習帆船を実習のみならずPR活動にも有効活用することが効果的と考えられる。
これらを踏まえ、航海訓練所は帆船及び汽船実習の組合せの最適化を図るなど、効果的かつ効率的な航海訓練の体系を構築していくべきであり、その具体的な方策の一つとして、帆船実習の時期や実習期間の変更について、各教育機関における在学生への影響に配慮しつつ、平成20年度から実施できるよう関係者間で具体的な内容を検討する必要がある。
なお、帆船実習の期間を短縮する場合には、短縮する分の乗船実習を汽船実習に振り替えることが必要となるが、現状の汽船実習においては実習生定員の充足率が70%を大きく超えていること、また、同時期に異種の実習生を混乗させ、多種多様の実習を実施していることなどを考慮すれば、汽船実習の増加分全てを航海訓練所の練習船において吸収することは現実的に困難である。しかしながら、例えば(1)で述べた教育訓練の複線化としての社船実習等が推進されれば 、その実現に大きく寄与することとなると考えられる 。
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(3)タービン実習
現在航海訓練所が保有するタービン練習船 は既に船齢が25年に達し老朽 *2化が進んでおり、平成23年には用途廃止の目安となる船齢30年を迎えることとなる。
蒸気タービンを推進機関として搭載する船舶がLNG船に限られてきている現状においては、外航機関士を養成するためにタービン練習船を維持して実習を行うことの費用対効果は小さく、ディーゼル船と比較し燃料消費量で約2倍の差があるなど運航経費などの観点からも代替船をタービン船として建造することの必要性は乏しい。
一方、外航機関士にとって、タービンプラントに関する知識・技能は、乗船する船舶の主機関の種類(タービン、ディーゼルなど)を問わず重要かつ不可欠であり、これらの修得にあたっては、タービン練習船による実習が有効であることは確かである。
また、ディーゼル船であってもタンカーのカーゴポンプ等補機用タービンプラントの運転・管理には、タービン技能が不可欠であることを考えれば、新卒の3級海技士(機関)免許については、従来通り内燃限定のない資格が必要であり、実際上もタービン実習は欠かせない。
このため、タービン練習船の廃止後においても、限定のない海技資格の取得及びタービン技能の習得に支障が生じないよう、LNG船による社船実習や陸上における特別の訓練など有効な代替制度の確立について早期に関係者間による検討に着手する必要がある。
代替制度の検討にあたっては、社船実習においては、各船に分乗することとなる実習生の乗船機会の均等化、到達技術レベルの均質化の課題がある。
また、陸上においての代替訓練を検討する際には、気象・海象の変化による大きな負荷変動への対処をはじめ、現在タービン練習船で実施しているプラント管理に不可欠な教育訓練内容を踏まえ、実船実習と陸上プラント実習の差の検証等を行う必要がある。


*2 大成丸 1981年建造、 総トン数:5,886,73トン、 全長×幅×深さ:124.84×17.0×10.5(m)
機関の種類:蒸気タービン×1基、 出力7,000馬力/5,148kW、 実習生定員140名

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なお、全日本海員組合の委員から、実習における費用対効果や運航経費などコスト論のみを理由として 、また社船実習や陸上における代替訓練の適正 、有効かつ継続的な確保の可否についての検証を欠いたまま、タービン練習船の廃止を結論付けるのは問題であるとの意見があった。
(4)内航用小型練習船の導入
内航業界においては、今後著しい船員不足が予想され、即戦力となる新人船員の養成が求められている。内航船の主力が700総トン未満の船舶であることを踏まえれば、できる限り類似した船型の船舶における実習を行うことにより実習の効果を高めるため、早期に内航用小型練習船を導入し、内航教育に適した教育訓練体制とする必要がある。
小型練習船の導入に際しては、航海訓練所が委託を受ける船員教育機関からの実習生の受け入れに支障を来さないよう所要の乗船定員を確保するとともに、タービン練習船の用途廃止を行う場合には、その時期までの間に導入することが適当である。
また、小型練習船を導入することは、主機関が蒸気タービン機関からディーゼル機関になることによる運航経費の低減、教官他運航要員数の削減等、経費面での大幅削減が見込まれ、航海訓練所の運営の効率化にも資することとなる。
なお、全日本海員組合の委員から、内航用小型練習船の導入についてはタービン練習船の廃止とは別個の課題として検討されるべきであるとの意見があった。
(5)船員教育機関と航海訓練所の連携の強化
航海訓練所における乗船実習をより効果的かつ効率的なものへと改善していくためには、船員教育機関と航海訓練所の連携を強化しつつ、合理的な船員教育を行うことが必要である。このため、下記の事項について、関係者間で検討を行う必要がある。
○ 現在、在籍者全員を対象としている遠洋航海実習については、遠洋航海の時点で既に陸上への就職が決定している者、海技資格の取得を希望
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しない者等を除外することにより、実習教育の効率化や船員政策上不必要な経費(国費)の縮減を図ること
○ 帆船実習の時期及び期間を変更すること
○ 低学年時における乗船実習を効果的に実施するため、実習前に船員教育機関において必要な基礎教育を行っておくこと
○ これらの改善を進めるため、船員教育機関と航海訓練所との間で必要なカリキュラム調整等を行うこと
なお、東京海洋大学、神戸大学及び商船高等専門学校の委員からは、遠洋航海実習対象者の見直しについて、座学終了時には進路が決まっていないことや修業年限も含め制度の見直しについては慎重に議論すべきことであるとの、また、商船高等専門学校の委員から同様の理由により、カリキュラムの調整は幅広く慎重に検討すべきであるとの意見があった。
また、全日本海員組合の委員からは、海に対する関心の重要性が指摘されていることを考慮すると、遠洋航海実習の対象者の範囲を絞り込むことが適切かどうか疑問であるとの意見があった。
(6)船社と船員教育機関及び航海訓練所の連携の強化
教育訓練機関においては、昨今の船社ニーズを踏まえ、特に海事英語教育について船社との連携により強化が図られているほか、従来、教官の社船における乗船研修や船社の練習船視察会が積極的に実施されており、これらについては引き続き一層の充実が望まれる。また、海技の伝承のため、船員OBを教官として積極的に受け入れることが適当である。
一方、新人教育に必要となる基礎教育や安全面での教育訓練などについては、船社のニーズに対して、船員教育機関及び航海訓練所との間において認識の相違も見られ、業界のニーズに対応する人材の教育訓練に関して、必ずしも十分な配慮がなされていたとは言えない。
今後は 、業界のニーズや教育訓練内容について共通の認識を持つとともに 、一層の相互理解を図り、教育訓練の改善に反映させるため、定常的な意見交換の場を設定することにより、船社等、船員教育機関及び航海訓練所の連携を強化し、それぞれの役割分担に応じて適切かつ迅速に対応できる体制を整える必要がある。
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(7)外国人船員教育

・・・

2-2 航海訓練所の練習船隊の見直し
(1)タービン練習船の取扱い

前述のとおりタービンを主機とする船舶がLNG船に限られてきている状況においてタービン教育を多額の費用を必要とする練習船実習により実施することの必要性が乏しいことから、現在のタービン練習船について、タービン船として代船建造することは適当ではなく、内航用小型練習船の導入を図るなど業界のニーズを踏まえた船隊構成を整えるべきである。

(2)内航用小型練習船の導入
内航業界における今後の船員不足に対応し、即戦力となる新人船員の効果的な養成に向け、今後ニーズが増大する内航用小型練習船を新たに導入することが適当である。
小型練習船を導入するに際しては、航海訓練所が船員教育機関から委託を受ける乗船実習の受け入れに支障がないよう十分な乗船定員を確保することや、サイズ及び小型練習船における実習内容に係る内航業界のニーズを適正に見極めることが必要であるほか、財政的にも無理がないような仕様及び導入方法、資金調達のあり方等について検討が必要である。このため、平成19年度から小型練習船導入の検討に着手し、23年度を目途に小型練習船を就航
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させるよう準備を進めることが適当である。

2-3 海に対する関心を高めるための措置
(1)海に対する関心の重要性

海洋国家である我が国にとって、海の持つ重要性や、海事産業への関心は不可欠なものであるにもかかわらず、海に対する国民の関心は決して高いものになっていない。船員を志す者の減少には、さまざまな原因があるが、国民の海に対する理解と関心の低下、海運や船員に対する認識不足もその一つの原因であると考えるべきである。
海の重要性に関する理解の増進は、幅広い角度から取り組むことが必要な課題であり、船員教育訓練機関のみが責任を負うべき問題ではないことは当然である。
しかし、船舶職員及び小型船舶操縦者を養成している公益法人を含め、すべての船員教育訓練機関がこの問題に対して貢献できることはたくさんある。練習帆船をはじめとする練習船の活用等を通じ、国民、特に青少年の海や船に対する関心を高めること、関係者が協力して船員を志す青少年を増加させる努力をすることは特に重要であり、こうした努力を通じて、船員志望
者を増加させることは、海洋国家である我が国の発展のみならず、船員教育訓練機関そのものの経営の健全化にもつながる重要な課題である。

(2)練習帆船の有効活用

航海訓練所が運航している練習帆船は、国民の人気が高く、海や船の魅力を象徴する存在として、日本各地への寄港の際には多くの市民が見学に訪れる存在となっている。しかし、現状では、一般の国民が練習帆船に乗って実際に航海に出る機会はきわめて限定されている。

一方、帆船実習の義務付けの廃止、帆船実習期間の短縮等により、今後練習帆船の船員教育への活用がある程度縮小されるため、PR効果の大きい練習帆船を幅広い分野で活用することが物理的に可能になってくる。

練習帆船の有効活用に当たっては、できるだけ多くの国民が実際に帆船に
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乗って航海に参加する場を形成することが重要である。特に、児童・生徒や青少年層に帆船による航海を通じて海のすばらしさを体験させることは、将来、海洋国家を担う人材を育成するうえで大きな意義がある。また、帆船が寄港する港の市民に体験航海の機会を提供することは、地域の人々の海への理解を深めるために重要である 。さらに、旅行会社とのタイアップ等により 、一般の国民に対し、帆船による航海の機会を提供することも重要である。
したがって、練習帆船の有効活用を図るためには、地方公共団体や港湾管理者との連携、各種教育機関や青少年教育団体等との連携を深める必要があり、これらの関係者の理解と協力を得つつ、練習帆船の活用範囲の拡大をすすめていくための具体的検討を早急にすすめる必要がある。
練習帆船の有効活用は、平成20年度以降本格的に実施することとし、平成19年度に試行的な体験航海を実施して、その効果の検証、有効活用方法の検討等を行うべきである。
(3)船員志望者を増加させるための対策
海への関心を高めるための手段は、帆船だけではない。各船員教育訓練機関が積極的に練習船、ボート等の施設を活用し、海への関心を高めるためのイベント等を積極的に実施することには、大きな効果があると考えられる。
また、船員教育に関する横断的なPR資料を作成して、港における各種イベント、帆船寄港時のイベント、各種体験航海等の機会に青少年層を中心に配布し、船員教育訓練機関の存在を広くPRする等、情報提供の活性化に向けた努力が必要がある。船員教育訓練機関のPRについては、学校関係者へのアプローチをさらに充実させることも重要な課題である。
練習帆船をはじめとする練習船を活用し、船員教育に興味を持つ中高校生をオリエンテーションのための航海に参加させることも検討する必要がある。
さらに、海事関連産業全体による総合的なPRの推進、プレジャーボート利用促進策の推進等を通じ、国土交通省と海事関係者が一体となって、海に関する関心を高め、船員志望者を増加させるための施策を講じていく必要がある。
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2-4 航海訓練所及び海技教育機構の財政基盤の整備
(1)自己収入の拡大
航海訓練所及び海技教育機構については、行政の減量・効率化及び適正な受益者負担という観点から、経営の効率化や自己収入の拡大が要請されているなかで、航海訓練所の実習について各船員教育機関から支払われる実習委託費は、実習期間中の食事が全て賄われたうえで、現行1人1月3,000円の低額となっている
このため、航海訓練所は、実習委託費について平成20年度から段階的な引き上げが図られるよう、関係者で早急に調整を進める必要がある。
なお、東京海洋大学、神戸大学、商船高等専門学校の委員からは、本検討会で審議すべき内容ではなく、当事者が別の場において検討すべきであるとの意見があった。
また、航海訓練所は、帆船を用いた海事PR活動や定員の余力を活用した青少年等を対象とする新たな体験航海、我が国商船隊の安全かつ安定した運航体制を担うこととなる外国人船員養成のための乗船実習等の事業に、海技教育機構は、今後の船員のライフサイクルを踏まえ、キャリアアップ等に必要となる船員の再教育などの事業に、それぞれ積極的に取り組む必要があるが、両法人はこれらの事業の実施にあたって、事業内容に応じた適切な費用負担を求めることにより収益の増大を図る必要がある。
(2)経営の合理化・効率化
航海訓練所及び海技教育機構は、独立行政法人として、組織の簡素化、定員の適正化、練習船の運航経費の見直し、業務の外部委託、管理費の節減などを一層進めることにより、さらなる合理化・効率化を進める必要がある。
また、収益事業等の拡大に際し、非常勤講師等の積極的活用に取り組む等十分な教育水準を維持しつつ、合理的な経営を実施する必要がある。
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(3)運営費交付金の削減
収益事業の拡大、経営の合理化・効率化を通じて、両法人に対する運営費交付金の削減を可能にしつつ、より効果的な船員教育を可能とする新たな教育訓練体制の構築を進めることが必要である。

2-5 航海訓練業務にかかる市場化テストを含めた民間開放について

船員教育の民間開放については、従来、新3級制度において一部実施している社船実習を、通常の3級及び4級の乗船実習についても実施することが拡大の一策であり、外航、内航船社の積極的な利用が期待できる制度設計を行いつつ、推進を図る必要がある。
航海訓練業務の市場化テストについては、内航船社からは、民間の教育機関における公平性の問題の指摘や、コストの合理化を図りつつ国の責任の下での教育の継続を求める意見が、教育機関からは、教育の同質性、中立性、平等性の観点からの反対意見が、労働組合からは、本来は国としてきちんとやるべきであり、民間が行うことは適当ではないとの反対意見がそれぞれ示された。
また、市場化テストに関して委員が共通の認識を持つため、事務局から市場化テスト制度に関する説明がなされたが、上記の各意見に変化はなかった。
しかしながら、一部外航船社からは、本検討会が市場化テストの善し悪しを議論する場ではないとの意見があり、本検討会においては、市場化テストについて議論を深めるには至らなかった。
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(添付資料1)

船員教育のあり方に関する検討会委員名簿 (○;委員長)

◎船社等

宇佐美皓司 (社)日本船主協会副会長
江口 光三 川崎汽船株式会社取締役
鏡 敏弘 株式会社商船三井専務執行役員
栢原 信郎 国際船員労務協会会長
藤井 治 新日本石油タンカー株式会社常務取締役
萬治 隆生 日本郵船株式会社代表取締役・専務経営委員
森田 豪治 三光汽船株式会社取締役副社長
伊川 重夫 オーシャン東九フェリー株式会社海務部長
上窪 良和 第一船舶株式会社代表取締役社長
木許 作太 日本内航海運組合総連合会船員政策委員長
羽山 憲夫 川崎近海汽船株式会社常務取締役
藤岡 宗一 上野トランスティック株式会社執行役員
真木 克朗 日本内航海運組合総連合会会長
三木 孝幸 三洋海運株式会社代表取締役社長

◎教育機関

小川 征克 (独)航海訓練所理事長
久保 雅義 神戸大学海事科学部長
小堀 欣平 (独)海技教育機構理事長
藤田 稔彦 東京海洋大学海洋工学部長
堀籠 教夫 広島商船高等専門学校長

◎関係団体

勝野 良平 (財)船員教育振興協会理事長
黒田不二夫 (財)日本海技協会専務理事

◎労働組合

池田 秀男 全日本海員組合国際局長
(平山 誠一 全日本海員組合国際汽船局長)
三尾 勝 全日本海員組合国内局長
(馬越 洋造 全日本海員組合沿海局長)
三宅 隆 全日本海員組合中央執行委員
(三尾 勝 全日本海員組合政策教宣局長)

◎学識経験者

野川 忍 東京学芸大学教授
羽原 敬二 関西大学商学部教授
○宮下 國生 大阪産業大学経営学部教授

◎国土交通省

冨士原康一 海事局長
(星野 茂夫 同上 )
春成 誠 海事局次長
(冨士原康一 同上 )
大野 裕夫 大臣官房審議官(海事・港湾)
(小野 芳清 同上 )
長谷部正道 大臣官房参事官(海事)
(飯塚 裕 同上 )
大塚 洋 海事局内航課長
(長谷川伸一 海事局国内貨物課長)
(岡田 光彦 海事局国内旅客課長)
持永 秀毅 海事局運航労務課長
(後藤 洋志 海事局船員労働環境課長)
村上 玉樹 海事局船員政策課長(事務局)
金田 章治 海事局船員政策課船員教育室長( 〃 )
(藤井 照久 同上 )
天谷 直昭 海事局海技資格課長
(羽尾 一郎 同上 )

〔注〕( )内は前任者
*****22*****

(添付資料2)

船員教育のあり方に関するアンケート結果概要
【アンケート回収数】 外航=29 /49社(回収率59%)、内航108 / 190社(回収率57%)

船員教育をめぐる環境変化への対応

1.日本人船員に求められる船員像 (Q3-7)

(外航) 運航管理者や海事関連職を目指したキャリアアップを期待する人材への指向が大半(62%)を占める一方、運航管理者や海事関連職の資質以前に、安全運航を確保するための運航要員としての活躍を期待する回答が(19%)であり、外航日本人船員に求められる役割が、運航要員から運航管理者等へ変化している。

(内航) 幅広い技術、知識を持つ汎用型の海技者としての人材指向が大半(56%)を占め、船員不足を補うための運航要員の確保が大勢を占める一方、運航管理者や海事関連職を目指してキャリアアップを期待する人材への指向も36%に及んでいる。

<グラフ>

2.船員教育機関の教育・訓練内容
(1)新人船員の質に対する満足度 (Q3-1)
外航、内航ともに「過不足ない」とする回答が約40%を占めるものの、同数以上が「不満」を回答しており、新人船員の質に対する不満が大きい。

<グラフ>内航の36%が「過不足ない」、50%が「不満」と回答、5%が「著しく不満」、7%が「未回答」、2%が「十分満足」
*****23(1)*****

(2)「不満」である理由 (Q3-2)

外航は、記述式の設問に対して、基礎学力の低下、英語力の欠如、向上意欲の欠如などが主な回答であった。
内航は、職業意識が薄い(44%)、実務能力の不足(28%)が主な回答であった。

<グラフ>

(3)教育の成果が上がらない原因 (Q3-3)
「教育機関、教育内容、教育環境等に問題がある」という回答が、外航で36%、内航で44%を占める反面、「学生の質の低下」を理由とする回答が外航で52%、内航で38%に及び、教育制度だけではなく学生の質の低下も大きな理由になっている。

<グラフ>

(4)学生の質の低下の原因 (Q3-5)
学生の質の原因については、外航、内航とも「船員という職業の魅力の低下」により、優秀な学生が集まらないとする回答が、約80%を占めている。

<グラフ>内航は、77%
*****24(2)*****

(5)外航における新人船員の供給源の多様化への具体策 (Q3-6)

・・・

(6)教育システムの限界に対する具体策(内航) (Q3-6)

(3)の教育の成果が上がらない原因について、「教育制度に問題がある」と回答した
者に対して、教育システムの限界に対する具体策に関する質問を重ねた。

海員学校の教育内容の改革を求める回答が35%であるとともに、商船大学等、一般
大学卒業生を対象とした内航海運への人材供給のための課程を設置するという回答
が27%を占め、船員教育制度の改革への意識が強い。

<グラフ>

(7)外航・内航の船員教育に求められる要素の違い (Q3-9)
外航、内航それぞれに66%、53%が、各々の船員教育の内容に求められる要素の違いを回答しており、相違点としては、外航側の国際航海に適応する能力に対して、少人数で運航する内航側について航・機にわたる幅広い職務などがあげられる。

<グラフ>内航、「ある」53%、「ない」33%、「未回答」14%
*****25(3)*****

船員教育の規模について
1.船員教育機関の養成規模 (Q4-1)
高い就職率を確保するために「養成規模を絞るべき」という回答は、内航で8%見られるものの、急激な船員需要の増加への対応や優秀な人材の確保という観点から「一定の余裕を持たせる規模の養成が必要」とする回答が大半(外航61%、内航53%)を占めている。
一方で、採用計画と養成規模等との間の調整を必要とする回答も約25%であった。

<グラフ>

2.養成規模に余裕を持たせる場合の埋没費用 (Q4-3)

1.で、「一定の余裕を持たせる規模の養成が必要」という回答者に対して、養成規模に余裕を持たせる場合の埋没費用に関して質問を重ねた。 優秀な人材を確保するための費用であることから、埋没費用と考えないとする回答が、外航 で45%、内航で40%と多いものの、養成規模を絞った場合でも急激な船員需要の増加への 対応や優秀な人材の確保という観点から、何らかのセーフティネットが必要とする回答もほぼ 同数を占めている。

<グラフ>

*****26(4)*****

航海訓練所練習船のあり方
1.練習船の構成、規模、運用方法 (Q5-1)
内外航ともに「適正」とする回答が約25%あるものの、隻数の過大、構成や運用方法などについて、改善を求める回答が35~45%に及んでいる。

<グラフ>

2.帆船による航海訓練 (Q5-2)

資質の涵養の理由から「必要」とする回答は、外航、内航とも約20%あるものの、小型化、訓練期間の短縮など効率化を図るべき、汽船による実習と効果が同じであると示した上で実施すべきなど、何らかの改善を求める回答(30~40%)も多い。
また、帆船は廃止し必要ならば別の仕組みで青少年教育に使用するなど、船員教育における訓練とは切り離して運航することを提言するものが、外航で30%、内航で20%を占める結果になった。

<グラフ>

*****27(5)*****

3.タービン練習船の代船建造 (Q5-3)
LNG船運航の観点から外航の一部で建造すべき(27%)という回答があるものの、工場実
習や、タービン船を保有する船社にタービン教育を委託するなどの代替により、タービン練習
船の代船は必要ないとする回答(53%)が大半を占めた。
内航においても、同様の理由で必要ないの回答(70%)が占めている。

<グラフ>

国の関与の必要性
1.船員教育を国が担う必要性 (Q2-1)
外航、内航それぞれ、80%、90%が「国が担う必要性」を回答している。

*****28(6)*****

<グラフ>

3.国が関与する具体的な方法 (Q2-3)
「現状維持」という回答が約50%を占める反面、教育機関、航海訓練所の教育、実習の内容の一部を民間に委託するなど、何らかの改善を求める回答も約40%を占めている。

<グラフ>

4.国費による外国人船員の養成 (Q2-5)

・・・
*****(7)*****

5.外航日本人船員の自社養成 (Q4-7)
外航船社では、約76%が自社養成に反対である。
一方、内航側には、「内航船員の養成だけに国費投入をする」ことについて質問したところ、43%が外航と内航で船員養成を区別することの是非などを理由に反対する結果であった。

<グラフ>

6.船員教育の受益者負担への考え方 (Q4-8)
外航では、多額な負担でなければ賛成という回答を含めて、30%が賛成している反面、外
航海運は日本国民全員が受益者であること、経費負担の難しさなどを理由に54%が反対の回答であった。
内航では、45%が賛成であるが、外航同様の理由により34%が反対の回答であった。

<グラフ:船員教育の受益者負担について>内航、「賛成」6%、「多額な負担ではないことを条件に賛成」36%、「反対」34%、「その他(船員希望者の減少につながる等」8%、「未回答」16%
*****(8)*****

産官学の人事交流について
1.船員教育独法との人事交流 (Q5-4)
人事交流には、殆どの船社が賛成(外航83%、内航8%)するものの、人的余裕がないことなどを理由に外航では59%、内航では55%の船社が、対応が難しい旨を回答している。

<グラフ>

2.船員政策に対するフォローアップに関する業界の参画について (Q5-5)
未回答率が多いものの、回答者のほとんどがその必要性を回答(外航56%、内航51%)する結果であった。

<グラフ>

3.航海訓練業務の民間委託について (Q5-7、8)
学生の採用に際して競争環境をゆがめること(中立性を崩す)、受益者負担等の問題につながることによる船社におけるコストの増加などを懸念する観点から、航海訓練業務の民間委託については、外航で66%、内航で64%の船社が反対する(又は、原則反対で限定される条件下でなければ構わないとする)結果であった。
*****(9)*****

<グラフ>
*****(10)*****

(添付資料3)

船員教育のあり方に関する船社ヒアリング結果概要

船員教育をめぐる環境変化への対応

1.日本人船員に求められる船員像
(外航) ○船員に求められる、海技士としての資質、船員像は変わらない。あくまでも、語学を含めた基礎学力が必要。
○船員に求められる役割が、船舶の運航要員の経験を踏まえた、陸上における運航管理職員へと変わっている。

(内航) ○新人船員に求める資質は、やる気、向上心、素直さ等、指導し易い者。(海上勤務への指向性が第一)
○少人数で運航するため、幅広い技術、知識、協調性等を備える船員。
○船員不足を背景に、運航要員としての基本が身に付いている船員。
○即戦力を求めたいものの、現状ではそこまで期待していない。

2.船員教育機関の教育・訓練内容
(外航) ○常識的な物の見方ができる一般教養を含め、基礎教育の充実が必要。後は社内教育で対応。
○海運業はグローバル産業であり、外国人とともに働くことからも英語力の強化が必要。
○航海訓練所は、技術の習得の場所であり、専門家の育成という認識が必要。(教育訓練にメリハリを感じない。)
○大学等と航海訓練所との間の卒業生の質に対する責任関係が不明確なのではないか。

(内航) ○教育内容・教材は問題ないが、知識が十分身に付いておらず、一人立ちに時間がかかる。
○両用教育は必要であるが、知識レベルは広く、浅くとなる傾向にある。
基礎知識を充分につけさせて欲しい。
○海員学校の両用教育は役に立たない。採用後にプロパーとして育成している。

(共通) ○インターンシップ制度を拡充するなど、入社前に船社の現状を理解させることが必要。(海上生活になじめず中途退職する者が多い。)
○教える側の意識改革が必要。業界の状況把握が不足。
*****(1)*****

3.船員教育機関と船社の役割分担
(外航) ○教育機関では、安全教育を含めた基礎教育の充実。
○船舶管理、物流等に関しては、入社後の社内教育で育てる。

(内航) ○教育機関では、向上心付きの基礎教育。船社はそれに基づくOJT教育。
ただし、社内教育に対応できない船社も多い。(即戦力要求もある)

4.外航と内航に求められる要素の違い

(外航) ○基本は同じだが、外航には語学力が必要。

(内航) ○船舶運航技術については、内航の方が高いものが要求される場合もある。(特に入出港操船)
○荷役実務が大きく異なる。(タンカー等本船荷役が常態)

船員教育の規模について

1.船員教育機関の養成規模について
(外航) ○過大と言われても仕方のない面もある。
○現在は船員不足であり、過大ではない。
○海運関連の陸上職に就く人もいるのだし、また、就職には景況で波動もある。
優秀な学生を確保するためにも余裕をもった養成規模が必要。
○養成数は、船員志望者の数がポイント。
○過大なのは採用しない業界にも原因があり、業界の人間が過大だというのはおかしい。

(内航) ○内航業界は船員が絶対的に不足しており、養成規模も不足。
(現実には大量の引き抜き合戦が始まっている。)

航海訓練所練習船のあり方
1.練習船の構成、規模、運用方法
(外航) ○航海士の免状取得について帆船の条件化は時代錯誤的。
○タービン船は、機関科の複合免許(ディーゼル、タービン)が取得できるので有効。
(タービン船を維持するかどうかは別にしても、複合免許が取れる体制は維持して欲しい。)
○海上職希望者の訓練に絞るべき。
*****(2)*****

(内航) ○帆船、タービン船実習は不要。ディーゼル船実習が有効。
○遠洋航海は、生徒の国際性の涵養、モチベーション及び職業意識を高めるために必要。
○練習船の訓練は、ゆとり教育的な感じがあり社船の現場を見せることも必要。
○内航の実態にあった小型練習船等バリエーションがあっても良い。

(共通) ○帆船実習は有効であり、帆船教育の維持を希望。ただし、乗船期間は適当かどうか。
○全寮制がなくなっている現在、海上就職への指向性、船内生活の基本(共同生活)を身につけるには、練習船が有効。

2.帆船による航海訓練について
(外航) ○航海士として、チームワーク、気象・海象等を理解する上で必須。
○人間教育としては有効だが、職業訓練としては不要ではないか。(現状では単なる思い出作り。)
○国民等に対するアピールという視点で必要。

(内航) ○実務にはつながらない。
○資質の訓練は汽船実習で十分できるので、帆船は不要。
○帆船のディーゼルエンジンは内航の教育には必要かもしれない。

(共通) ○船乗りの基本を育てるうえで必要である。(精神面の強化)国の関与の必要性

1.船員教育を国が担う必要性
(外航) ○船員教育は、国策として位置付けるべき。(単なる運転手の養成とは異なる。)
○船員養成には多額の費用が必要であり、大手であれば自社養成をやれといわれ
ればやるかもしれないが、中小企業では負担できない。
○各社バラバラの養成はうまくいかず、基本部分は国による安定供給が必要。
○内容が適切かという問題であって、主体がどうかという問題ではない。

(内航) ○国内輸送の確保の観点から、船員教育は国が実施すべき。
○内航船社は脆弱であり、実質的に船員教育はできない。
*****(3)*****

2.外国人船員の養成
(外航) ○日本人船員と外国人船員(期間雇用)の雇用形態が違う。外国人船員の養成は社内教育が基本。
○国費の投入には、国民の理解が得られない。
○現状追随ではなく将来的な展望をにらんでのことなら説明も可能かもしれない。
○現在でも会社で対応できており、あえて国が関与するまでのことはない。

3.日本人船員の自社養成について
(外航) ○海運は条約の枠組みで養成しており、国の関与があって然るべき。
○自社教育だけでは人材確保が困難。(中小船社)
○人材供給源は多様化しており、国ではできない、自社養成しろといわれれば何らか
の選択肢をとるしかない。
○大手に限っていえば、他の業界と比較すると手厚い面もあるかもしれない。

4.受益者負担について
(外航) ○日本が貿易立国であることを考えれば、受益者は国民全体。
○公費負担で国が責任をもって行う必要がある。(中小船社には負担大)

(内航) ○基本的には、船員教育は国の責務であり、国費の投入は当然。
○国内輸送の確保の観点からの公益性があり、充分国益に貢献。
○一部負担等は、船社だけでは不可能、荷主も含んで検討が必要。

(共通) ○金銭負担ではなく、一部乗船体験をさせる等、広義の受益者負担ということなら考
えられるかもしれない。

5.海事関連職としての海技者の確保について
(外航) ○国はあくまで船員養成を実施すべき。
○海技者が必要な企業等があれば、自ら負担し養成すればよい。乗船機会の提供等
は協力してもよい。
○船社の採用者を海事関連職へ転職させる余裕はないが、ドロップアウト等で対応
は可能。
○いろいろなレベルがあり、一概に論じられないのではないか。

(内航) ○すべての関連企業に国が関与する必要はない。
○内航からの人材供給は可能。
*****(4)*****

産官学の関係について

1.独法との人事交流について
(外航) ○教官に実船を体験してもらえれば、教官が実船のイメージを持って生徒に教えられるので有効。
○船社の職員が、航海訓練所の教官となって教えられれば有効。
○教育カリキュラムの作成面での交流も馴染むのではないか。
○教官に船社の実務をとらせるわけにはいかない。研修制度なら可能。
○単なるハンズとして派遣されるなら意味がない。

(内航) ○船社から教官への交流は、現場での教育には有効。
○経営面でも民間のノウハウを入れることは有効。

(共通) ○人事交流は賛成だが、内・外航に人的な余裕はない。

2.船員政策に関するフォローアップについて
(外航) ○意見なしが大半。
○船社を交えると営利的発言が増え、そのような制度が有効なのか判らない。

(内航) ○PDCAの時代であり、フォローアップは当然。
○内航総連や船主協会が参画すべき事項。

3.船員教育機関の民間開放について
(外航) ○教育であるので、履行できなかった場合、撤退が生じた場合の議論を詰めておく必
要がある。
○経費節減は提言できるが、それを引き取って自社事業にするつもりはない。
○市場化が可となっても本業に邁進したいのが本音。金があってもマンパワーを投入
する余裕はない。
○「ねばならない」という話ではなく、問題等が官では解消できない場合の一つの手法
にすぎないのでは。いずれにせよ、お互い関係者の納得は必要。

(内航) ○船員教育の民間開放は無理。
○船員養成は政府主導の体制を維持して欲しい。
○民間ではなく、全くの独立機関が運営するのならよい。

(共通) ○教育機関には常に中立的立場が必要。
○大手の息にかかったところなら受託も可能かもしれないが、それはその会社に都合
のよい人間しか教育しないし、採用上にも問題が生じる。
*****(5)*****

( 添付資料4)

意見概要

外 航
1.商船系船員養成に係る教育訓練体制の複線化の推進について
(1)教育訓練の複線化について
○ 新3級制度に続くさらなる複線化は、当該制度の実績及び評価結果を踏まえて検討すべきある 。 (教育機関)
○ 教育訓練の効率化は、複線化によってではなく船社と航海訓練所と教育機関の緊密な連携によって十分達成可能と考えられる  。(教育機関)
○ 各船社で実習を行う場合には、教育訓練方法の統一化、実習生の到達レベルの均質化など 、教育訓練の中立性 、 公平性を維持する必要がある。(教育機関)

(2)社船実習について
○ 船社による乗船実習を航海訓練所の練習船と同等の乗船履歴として認めるという海事局の「船員(海技者)の教育システムの改革の方向性」については、当該制度を利用するのは船社の自由であり、参入する船社の多少を気にせず、複線化の推進のための将来に備えた制度設計という位置づけでスタートすれば良いのではないか  。(その他)
○ 社船による乗船実習については、運航要員を教員に充てることの適切性や商業ベースで船舶を運航しながら同時に教育を行うタイミングなど現実的な運用を考えると、この方向性を決定することについて躊躇する部分がある  。(その他)
2.航海訓練所における帆船実習の見直しについて
○ 帆船実習は、日々変化する厳しい自然現象の中で船舶を運航する能力を涵養し、リーダーシップやコミュニケーション能力を高め、職業意識を確保するという点で他に代えることはできない。 (教育機関)
○ 帆船による教育は、船員としての資質の涵養において有効な手段の一つであるが、 実習のあり方については船社ニーズ等を踏まえて実習時期 、
*****(1)*****

期間について見直す必要がある 。 (教育機関)
○ 帆船実習の時期や中味については検討の余地があるが、船員の基礎教育に大きな効果がある帆船をより有効に活用する方法を検討すべきではないか 。 (教育機関)
○ 船社は帆船実習そのものを否定している訳ではなく、帆船に乗らなくても、3級の海技資格を取得できる学校があるのだから、商船系の学校についても、帆船実習の義務付けを取り除いて欲しい 。 (船社)
○ 帆船実習の義務を外す前にカリキュラムや実習期間など本当に必要なものは何かについて色々な角度から検証が必要ではないか 。( その他)
○ 現代の若者の資質の変化及び集団生活の経験が少ないということから、コミュニケーション能力やリーダーシップの涵養のために帆船実習の効果に目を向ける必要があり、これから船員になろうとする若者に対する帆船実習はこれらの点からも必要ではないか  。(教育機関)
○ 帆船実習については、義務付けを廃止するということであり、実習自体を廃止するわけではないので、これを踏まえて議論する必要がある。(その他)

3.航海訓練所におけるタービン船実習の見直しについて
○ タービン船実習は社船でも可能であるが、到達技術レベルの非均質化の問題があるので、タービン主機のLNG船が存在する間はタービン船実習を継続すべきである。 (教育機関)
○ 現タービン練習船は老朽化していることから代替船の建造が望まれるが、財政的に代替建造が困難であるとすれば、別途タービン実習の機会が確保される必要がある 。 (教育機関)
○ タービン船による実習は、帆船実習と同様にマリンエンジニアの資質の涵養に必要である 。(その他)
○ タービン船は、エンジニアとしてのトータルプラントマネジメントを考えるうえで教育設備として有効であることは共通の認識がある。
そのためにタービン練習船があることに越したことはないが、どれだけのエンジニアが必要か、その費用対効果及び練習船隊の構成、老朽化と代替建造の必要性という観点からは、現実的な対応として陸上のプラントで代替せざるを得ないのではないか 。 (船社)
○ ディーゼル船のタンカーの多くは、補機として大型タービンプラントを搭載しており、その知識は重要である。タービン船実習について、陸上ボイラでの代替えを調査したことがあるが、陸上には舶用ボイラと同じものはなく代替は困難ではないか 。(船社)
*****(2)*****

○ 陸上においてタービン船教育の互換が100%可能であれば異論はないが、陸上とは違い激しく変化する気象・海象の中で負荷が変動する状況を実際に練習船で経験を積むことは、機関士の養成にとって必要ではないか  。(その他)
○ 実船実習と陸上のプラント実習の差の検証は必要になるが、経営規模の縮減という点からもタービン練習船の代替措置についての検討を進めるべきである 。(船社)
○ 無限定の資格教育を選択するのか、内燃機関限定の資格教育を選択するのかということでは、無限定の資格教育が必要である 。(船社)

4.船社ニーズの的確な反映のための取り組み、基礎教育の充実、安全面での訓練の充実を図ることについて

○ 船社等のニーズを適切に反映させる方策は、定常的に意見交換の場を持ち、不通になることのないコミュニケーションの確立が重要である。(教育機関)
○ 基礎教育は船員教育機関の役割に負うところが大きいので、船社と教育機関が密接に連携を図り、それぞれの役割分担を明確にしつつ、定期的な意見交換を行うなど、一層の充実を図るべきである  。(教育機関)
○ 外航船社が航海訓練所の訓練に求めるものは、船員としてのプリミティブな資質であり、きちんとした基礎教育が必要である。 (船社)
○ 基礎学力や安全面での訓練の充実を図ることが重要であり、船社での安全面の訓練実態を教育現場に早急に取り入れる方策を考える必要があるのではないか  。(教育機関)

5.航海訓練所における乗船実習規模の見直しについて
○ 将来船員として就職するかどうかわからない者に乗船実習を提供するのことは非効率との意見があるが、現行の大学1、2年次の実習は、学生の船員としての適性・資質の確認と志向性の向上に不可欠である。また、入口で船員養成コースの定員を絞ると、乗船実習科の充足率と
学力レベルの低下を招く可能性があるのではないか 。 (教育機関)
○ 船員志望者と非船員志望者が実習で混在することについては、学校が実習委託時に絞り込みを行う方策が考えられる。 (教育機関)
○ 実習生数と船員就職者数との乖離についての抜本的解決策は、船社の新規採用数の増加であり、船員資格を持つ学生を継続的に一定数採用することが船社側に求められるのではないか 。(教育機関)
*****(3)*****

○ 高専の卒業生は海事関連産業に就職しており、就職改善によりほとんどの学生が船員志望となる可能性は高く、船員志望者と非船員志望者が共に訓練することによる実習効果低減の懸念はなくなるのではないか。学校教育法の改正による卒業制度の見直し、または現行制度のもと、選択制による乗船実習科などの導入も一つの方策である。(教育機関)
○ 乗船実習の規模を検討するに際し、就職率に関しては外航船社の雇用方針との関係があり、船員として就職した数という観点だけでの評価は適当ではないのではないか (教育機関) 。

6.外国人船員教育について
○ 外国人船員教育に携わる人材を育てる方向で積極的に関与していくこととしたい。 (教育機関)
○ 我が国の社会経済に及ぼすリスクマネジメントの観点から外国人船員と日本人船員に関する教育訓練等の検討が必要であり、また、原則として船社が措置すべきではないか 。(教育機関)
○ 船社の費用負担を前提として航海訓練所において外国人船員の訓練を実施することについては、前向きにやって欲しい 。(船社)

内 航

1.海技教育機構を活用した高卒者を対象とする6級海技士取得のための措置の検討について

○ 内航船員が年間1,000人規模での不足が予想される中、内航船がストップしないよう、6級海技士の資格については3か月程度の講習により限定免許を交付して欲しい 。(船社)
○ 船橋当直に従事する者に義務付けられた現在の6級海技士の資格については、船長資格までは不要であり、航海当直担当者の資格に限定するような形で見直すべきである 。(船社)
○ 内航船員供給のソースを広げ、業界ニーズに対応するため新しい課程の設置に取り組んでいる。優秀な若年船員を養成するためには、産・官・学一体となった強力な連携が必要である 。(教育機関)
*****(4)*****

2.海技教育機構における専修科への重点化の推進について
○ 本科校から専修科校への移行については賛成であり、本科校の全部を廃止して専修科校へ移行してもらっても良い 。 (船社)
○ 内航海運業界においては、専修科の拡充に対するニーズが大きくなっているが、このような業界のニーズに的確に対応するため専修科への重点化策として新たに宮古校に専修科を設置することを計画している。なお、本科に対するニーズが依然強くあることも考慮する必要がある
と考えている。 (教育機関)
○ 専修科の重点化の流れの中、少子化等の影響で専修科の入口の応募者数が落ちて来ており、どうやって増やしていくかが課題となっている。内航業界からPR等についての支援が必要である 。 (教育機関)
○ 内航海運業界における船員不足が顕在化しているが、その主要供給源が新卒者に限られてきていることから、内航船員養成規模については少なくとも現行の水準を維持する必要があると考えている 。 (教育機関)
○ 専修科への重点化が推進される場合には、実質的に練習船への受入れ期間が長くなるが、養成規模等に係る当検討会の議論等を踏まえて対応することとしたい 。(教育機関)
○ 地方公共団体等との連携による練習船見学会を実施しているが、実習状況を見る者に直接PRできる良い機会であるので、生徒募集については練習船を活用してもらいたい  。(教育機関)
○ 内航業界で広報活動を行うなか、内航海運及びそこで働く船員の姿がいかに知られていないかについて痛感しており、国土交通省及びマスメディアにこれらの良い面をPRするための広報に協力して欲しい。(船社)
○ これから内航へ若い人を引っ張って来なければならないが、そのためには関係者が具体的な広報活動の実施について協力して取り組まなければならない。練習船についてはメインポートばかりではなく全国広く寄港し、一般国民が海や船に親しむ機会を作ることも必要ではないか 。(その他)
○ 海・船を知らない若者に内航海運をPRすることは重要であるが、その先の職場の実態を見たときにどう感じるかということを常に意識して、業界自らがレベルアップを図ることが必要である。 (その他)
*****(5)*****

3.内航教育に適した練習船の活用、社船実習の実施について

(1)内航教育に適した練習船の活用について

○ 練習船においては、内航船の実態を踏まえた効果的な実習訓練ができるよう、内航の主力である700GT未満の船舶の運航に対応する訓練ができるサイズの練習船の船隊整備が必要ではないか。 (教育機関)
○ 社船実習を含め、大型・小型を組み合わせた、より効果的・効率的な訓練を実施すべきと考える。 (教育機関)
○ 航海訓練所の練習船を小型化したときに、所定の養成人数に対して訓練を行うことに関しては物理的な問題があると考えられる。また、学校の延長として教育を行う船内環境や安全確保の観点からも適正サイズの練習船が必要なのではないか。 (その他)
○ 航海訓練所の練習船が外航船員の養成を中心に運営されてきたことは事実であり、航海訓練所の練習船で実習を受けた後、内航の小型船に乗船したときのギャップが想像を絶するくらい大きいという者もいる。(船社)
○ 水産高校の小型の練習船で実習した者が499GTの内航船に乗船してうまく適応しているのは良い例だが、航海訓練所が内航をターゲットにするのであれば、大きく立派な練習船である必要はなく、大型と小型の練習船の効用については諸刃の剣になるが、小型練習船での実習をもう少し真剣に考える必要があるのではないか。 (船社)

(2)社船実習について
○ 海事局の「船員(海技者)の教育システムの改革の方向性」における一定の要件を備えた社船による実習について航海訓練所の練習船と同等の乗船履歴を認めることに関しては、小型船については規模的に無理と考えるが、大型船においては1~2人を受け入れる余地があるので、過去のアプレンティス制度の復活のような形で実習を行うことを検討して
も良い 。 (船社)
○ 実習のカリキュラムをきちんと作った船舶については社船実習ができ
るよう業界としても協力的に対応したい。 (船社)
○ 社船実習は、新人船員の即戦力化など内航海運業界の多様化するニー
ズを踏まえたものであるが、学校教育の均質性、平等性、中立性及び教
育レベルの維持が確保されていることが前提条件である  。(教育機関)
*****(6)*****

4.航海訓練所における帆船実習の見直しについて

○ 帆船実習は、シーマンシップの育成、船員としての資質の涵養において有効な手段の一つであるが、実習全体のあり方については、船員の職務実態や船社ニーズを踏まえ、カリキュラムの編成や実習期間、時期等について大幅に見直す必要があるのではないか。 (教育機関)
○ 昨今の実習生の気質や考え方に変化が見られる中で、厳しい大自然の中での帆船実習は、責任感、注意力、実践力、協調性、忍耐力、判断力等を向上させる資質訓練に適している。また、海上志向性の向上や入学生募集への寄与をはじめ、教育機関及び業界関係者からも人間教育を含めた船員教育に必要な乗船実習として一定の理解を得ているものと考えるが、当検討会の議論等を踏まえて、実習内容の改善を図る必要がある。 (教育機関)
○ 帆船は訓練そのものよりも海事思想の普及にとって有効である。その実習期間の短縮及び活用方法について検討すべきではないか。なお、帆船の実習については、実際に錨泊していて帆走しなくても履歴として認められていることについて過去に議論があったことを念頭に
置く必要がある。 (船社)
○ 現在の海員学校本科では、3か月間の全ての実習が帆船実習で行われているが、航海系の実習においても汽船実習を体験させることが必要ではないか 。(教育機関)

5.航海訓練所におけるタービン実習の見直しについて
○ タービン練習船の廃止を検討することについては、内航は対象となる船舶が殆どないので特段の意見はない。 (船社)
○ 内航としては、タービン船実習は不要であり、帆船は2隻必要ではないと考えている。現在内航は毎年1,000人の船員の雇用が必要というせっぱ詰まった状況となっているが、航海訓練所の乗船実習は内航船員の輩出に焦点を当て優先的に実施して欲しい。 (船社)
○ 内航は外航のように自社で教育する体力はまだなく、航海訓練所には内航に軸足を移してもらいたい。その中で小型練習船の実習について検討してもらいたいが、タービン船については不要と考える。 (船社)
○ タービン練習船に代えて内航教育に適した小型練習船を導入するということに関し、即戦力のある人材の育成については従来から賛成しているが、当然荷役関係の教育も必要であるとの認識を持っている。
*****(7)*****

この点も含め小型練習船における教育内容について明確にするべきである。 (その他)
○ 小型練習船については、まだ具体的なイメージはないが、内航業界は若い人を育てていかなければならない状況であると考えている。荷役関係についても教えるべきという意見があることは理解してはいるが、本来荷主側でやるべきものまで、本船に押しつけられているという実態もあり、若い人を育てるのに本当に必要な教育というものについて、慎重に検討する必要がある。 (その他)

6.船社ニーズの的確な反映のための取り組みについて
○ 教育機関及び業界の双方がそれぞれの役割に応じて積極的に分担を担っていくことが不可欠であり、教育機関及び業界との連携を積極的に推進する必要がある。 (教育機関)
○ 教育機関と業界の連携の中で、教員の社船における研修は、最新の船舶技術を習得するとともに、即戦力教育に有効である。 (船社)
○ 船社ニーズを的確に反映させるため、従来から実施してきた意見交換会、練習船視察会及び練習船教官の船社研修等を引き続き推進することとしたい。(教育機関)

7.外国人船員教育について
○ 外航部会では、航海訓練所において外国人船員の訓練を有料で実施することについて議論が行われているが、内航船員の確保対策を推進する中で、その分日本人船員養成のための枠が少なくなるといったことのないようにすべきである (船社)
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内航業界の魅力の向上の方策について

一般に内航海運・内航船員の存在が国民に知られていないとの意見 、また 、小型内航船の居住環境など職場環境が劣悪であるとの意見を踏まえ、内航海運業界における船員不足を改善する方策の一つとして、船を知らない人・若者へのPR、職場環境の魅力化など、内航業界に目を向けてもらうことが必要であると考えられることから、内航業界の魅力の向上の方策について意見交換を行った。主な意見は次のとおりであった。

○ ILO海事労働条約の国際標準に準拠して船員労働環境を改善することは良いことであるが、船員居室を大きくするとそれに伴って総トン数も増してくるので、総トン数について緩和措置を講じる等条約適合化の推進を図る上でも内航業界にメリットが生まれるよう検討して欲しい。 (船社)
○ 本年の4月から、連続して16時間以上航行する船舶については船橋当直に従事する者として6級以上の海技資格を受有する船員を3名以上乗船させなければならなくなったが、船員を増やすために199総トンの船舶が船室を増やす場合は、200トンを超えることになる。
これについては、船員の居住環境の改善のための増トンについて、特別の取扱いをして欲しい  。(船社)
○ 関連して、今回の6級の養成課程の新設方針については、内航業界は非常に喜んでおり、この場を借りて感謝したい。なお、定員40名ではニーズに追いつかないので、さらに増員が必要と考えているが、業界としては受講者が殺到するようにPRを含めあらゆる努力をしたい 。(船社)
○ 訪船して若者と船員の定着率を良くすることについて話し合う機会があるが、その中で、海上では船舶から陸に携帯電話が通じなくなるエリアがあり、どうにかならないだろうかという意見や、どんな状況でも陸との接点が確保できる環境が船員の安心感を生むので、これが定着率の向上に繋がるのではないかという意見があり、ハッとする思いをした。こういうこともぜひ職場環境改善の参考にして頂きたい。 (その他)
○ 一般国民は内航と外航の区別はもとより、海運業が我が国の産業や国民生活に重要な役割を果たしているということについての認識がない。また内航については、マスコミにおいても、事故や高齢者の就労など国民にマイナスのイメージを与えるような報道しかしてもらえない。業界としては地道にいろいろPRを行っているが、良いイメージを持ってもらう
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ための効果的な方策が必要であると考えており、そのための知恵を拝借したい。
また、小学校で海運国日本の船舶や港湾の役割について教育をしてもらうことが最善の方策の一つと考えているので、文部科学省に働きかけをして欲しい  。(船社)
○ 帆船は海や海運のPRにとって非常に効果的であるが、そういう意味から航海訓練所は寄港地の選択についてもっと検討すべきである。 (船社)
○ 帆船の効果として寄港地を選択することも重要であるが、寄港地での活動として、学校の生徒を船に招待することも重要である。自分が船を直接見たり、触ったり、体験したということで海や船への関心が一層高まるのではないか 。(その他)
○ 当検討会では海技資格者の確保・育成についての議論が中心になっており、それに特に異論はないが、旅客船業界には部員の世界があって、その供給源が絶たれており、一般高校卒業者の採用に力を入れているので、こういうレベルの学生までも対象にして海のPR活動をすることも考慮すべきではないか。 (船社)

市場化テストについて

○ 民間の教育機関は、どうしても公平性に欠ける。また、内航事業者は教育にお金を割くというのが非常に難しい業種であり、コストの合理化を図りながらでも完全な国有化の中で是非継続して、こうした学校を存続させて頂きたい。 (船社)
○ せっかく航海訓練所と作り上げた強化策が利潤を追求するという企業の目的によって無駄になるのではないか。市場化テストに参入しようとする企業が大手海運会社系の企業1社というような状態で移行すると、教育の同質性が保証されないのではないか。我々は現在の船員教育機関は一人一人の学生に対して同じ教育を行っており、特にある海運会社向けの教育を行っている訳では無い。教育の同質性、或いは中立性が崩れるのではないか。人材の囲い込み等が始まり、青田買いのようなことが起きるのではないか。インハウスでの養成を行っている状態となるので、他の多くの海運会社にとってこれは極めて不平等な状態になるのではないか。
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仮に1社独占ということになると市場原理が働かず、現在の学生から見れば、安い負担で済んでおります実習費が将来企業の業績次第で一方的に
高くなることも懸念される 。( 教育機関 *意見開陳における発言抜粋(議事録外 ))
○ 市場化テストについては、反対の意見が強い様に感じた。この辺りは、公平・中立性というところから意見が出たものと考える 。(その他)
○ 航海訓練所の仕事を市場化テストするということは、本来はやはり国としてきちんとやるべきであり、民間としてはやるべきではないということを組合の立場で申し上げたい。 (その他)
○ 国土交通省としてはこの業務を市場化テストの対象としたくない、するべきではないと考えている。
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