201005 改革の決め手は何か?厳しさ増す内航の経営環境

三木孝幸,改革の決め手は何か?厳しさ増す内航の経営環境,海運,No.992,pp.12-19

三洋海運株式会社 社長 三木 孝幸

私は、船主さんはグループ化してまで、果たして貸渡業を続けたいのだろうかと思っています。だいたいグループ化して、貸渡を続けなければならない必然性は、どこにあるのだろうか。そんなぐらいだったら、別の仕事を選ばれるんじゃないかなという気がします。だから、私はむしろこの業界で、船主さんとして仕事をしたという方だけが、逆に辞めた人の仕事も引き受けて、ある程度の規模に成長するのではないかという気がするんです。グループ化というように無理に政策的に打ち上げなくても、自然に集約されるんじゃないかなあと思っています。
私は船をずっと見てきまして、あまり事故を起こさない船には共通点があると思っています。
一つは、乗組員の人たちが家族意識を持ち、コミュニケーションがいい船です。乗組員がよそよそしくて、そっぽを向いているような船はどこかで事故をおこします。二つには船に対する愛着を乗組員の人たちが持っていない船は駄目です。三つには船主さんが頻繁に船に行って、みんなに声をかけて、コミュニケーションが取れている船は、事故率が本当に低いんです。こうした船主さんは、われわれにとって非常にありがたい船主さんです。
私はそれに気づいてから、頻繁に社船を全隻ぐるぐる回っています。また、「親父が来て話を聞いてくれた」と。ときには愚痴もいいますが、やはり乗組員が言いたいことを言えるようにならないと駄目です。

そういうふうにやっている船主さんは、事故を起こしません。
ですから、船舶管理をしていただくのは結構ですが、例えば、150人とか、200人の船員さんを抱えて、順番にローテーションで乗る船を変えていくときに、一緒に乗ったこともない人と一緒に組むときに、お互いに気持ちが通じるような、何かそういった普段のコミュニケーションをぜひお考えいただきたいと思うんです。
(その点は、オーナー以上に配慮しているつもりです。)[藏本]
それがやっぱり基本中の基本だと思います。

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