国土交通省,『交通政策審議会海事分科会 第5回内航海運部会議事録』,平成15年12月1日
目次
1、開 会 …………………………………………………………………… 1
1、資料の確認等 ………………………………………………………… 1
1、議 事 …………………………………………………………………… 1
(1)「内航海運の活性化による海上物流
システムの高度化について(答申案)」について …………………… 1
(2)その他 ……………………………………………………………… 15
1、閉 会 …………………………………………………………………… 15
以下、管理人専用
開 会
○参事官 それでは、定刻間近ですが、先生方がおそろいでございますので、ただいまから交通政策審議会海事分科会第5回内航海運部会を開催させていただきます。
本日は先生方大変御多用の中を御出席賜りまして、まことにありがとうございます。
本日は、松尾委員、井出本委員、そして急遽のことでございますが、加藤委員、立石委員が御欠席でございます。井出本委員、立石委員の代理として、全日本海員組合の馬越沿海局長、日本内航海運組合総連合会の真木副会長が御出席いただいています。どうぞよろしくお願いいたします。
資料の確認等
○参事官 まず最初に、お手元の資料の確認をさせていただきたいと思います。議事次第、配席図、資料一覧でございます。よろしゅうございますでしょうか。
なお、当部会につきましては、情報公開の観点から、会議自体を報道関係の方々に公開するとともに、議事録等を国土交通省のホームページに掲載することとしておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
それでは、杉山部会長、以後の議事進行をよろしくお願いいたします。
議 事
(1)「内航海運の活性化による海上物流システムの高度化について(答申案)」について
○部会長 それでは本日もよろしくお願い申し上げます。
第7回の分科会で提示されました検討スケジュールに従いまして、今回は答申案につ
いて具体的に議論をすることとなっております。
そこで、最初に議題(1)、「内航海運の活性化による海上物流システムの高度化に
ついて(答申案)」について、事務局から御説明をお願い申し上げたいと思います。
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○参事官 それでは御説明させていただきます。資料2でございます。その上にポイントという形で全体の構成をまとめてございます。この全体の考え方につきましては、8月に取りまとめをいただきました中間報告で全体の枠組みを決めていただいたものでございます。その中で、御案内のとおり4つの施策を柱として総合的な取り組みを行っていく必要があるということでございまして、中間報告の段階では、予算要求等の関係もあり、後半の二つ、「適切な事業基盤の形成」、「新技術の開発・普及」についての具体的施策についてまでお取りまとめをいただきました。今回の答申案につきましては、上の二つ、「競争的市場環境の整備」、「社会的規制の見直し」について今後取り組むべき具体的施策について案を作成していただいてきたということでございます。
答申案の本文に基づきまして、中間報告から今回加えてきたところを御説明させていただきます。
まず1ページでございます。「はじめに」ということで、今回の答申の全体的な趣旨についてまとめてございます。
内航海運は、国内貨物輸送の約4割を担う基幹的輸送モードとして、我が国の経済活動と国民生活に重要な役割を果たしている。
バブル経済崩壊後の長引く景気の低迷、経済のグローバル化による国際競争の激化等の中で、国内物流についてもその効率化が強く要請され、我が国経済の活性化や産業競争力の向上を図る重要な課題の一つとなっている。また、「京都議定書」の温室効果ガス削減目標を達成すべく地球温暖化対策の推進が急務となっており、市街地等における大気汚染問題への対応を図る上からも、自動車から海運・鉄道へのモーダルシフトを促進する等環境対策の強化がこれまでにも増して強く求められている。
物流システムは、各輸送モードが連携を図りつつ、こうした経済・社会の要請に的確に応えていく必要があるが、内航海運は、環境負荷が小さく、輸送効率に優れた特性を持つ輸送モードであり、多様化する物流ニーズに対応した高度かつ効率的な輸送サービスを構築し、その競争力を高めることによって、物流効率化、環境保全等の要請に積極的に貢献し、我が国経済・社会の発展に一層大きな役割を果たしていくことが期待される。
こうした状況の中、平成 15 年5月 29 目に国土交通大臣から交通政策審議会に対し「内航海運の活性化による海上物流システムの高度化について」の諮問が行われた。当審議会では、このような大きな役割が期待される内航海運を活性化させるための方策について幅広く検討し、①競争的市場環境の整備、②社会的規制の見直し、③適切な事業基盤の
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形成及び④新技術の開発・普及の4つを柱として今後総合的にとりくむべき施策の展開について、以下のとおり審議の結果をとりまとめた。
それから、以下は中間とりまとめと同じ文章が続きまして、6ページでございます。
「4.具体的な施策の展開」ということで、競争的市場環境の整備と社会的規制の見直し、この二つについての具体的施策を盛り込んでございます。
内航海運の活性化を図るため、内航海運活性化方策の基本的考え方に基づき、以下の施策の実施に早急に取り組むべきであり、その着実な推進が期待される。
(1)競争的市場環境の整備
①参入規制の緩和等
i)参入規制の許可制から登録制への緩和
内航海運業への参入については、これまで、業界秩序の維持・安定に重点を置き、一般の需要への適合性、基準船腹量(3隻以上等)等を要件とする許可制が行われてきた。これにより事業者数の大幅な減少や船舶の大型化など一定の成果を上げ、内航海運市場の状況は大きく変化してきている。一方、このような施策の長期の実施は、自由な新規参入や規模拡大の障害となり、競争制限的な市場構造が長期にわたって温存されることとなった結果、かえって業界の活性化や中小零細性の解消の支障となってきた面がある。
こうした状況を踏まえ、事業意欲のある事業者の新規参入等による内航海運の活性化を図るため、参入規制を現行の許可制から適切な資金計画、確実な船員配乗計画を有すること及び船舶を1隻以上所有することを要件とする登録制に緩和することが適当である。
ⅱ)事業区分の廃止
これまでは、小規模オペレーターの乱立による過当競争、安定輸送の阻害等を防止するため、内航運送業(オペレーター)と内航船舶貸渡業(オーナー)の区分を行い、内航運送業者のみが荷主と運送契約を締結できる(貸渡業者は船舶を運送業者に貸し渡すのみ)こととされてきた。しかし、現在の内航海運の競争制限的な市場構造に鑑みると、内航海運の活性化のためには、このような事業区分にとらわれず、意欲ある事業者の創意工夫による多様かつ活力ある事業展開を促
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進することが必要であり、オペレーター・オーナーの事業区分を廃止し、全ての内航海運業者に荷主との運送契約締結を認めることとすることが適当である。
ⅲ)適正船腹量・最高限度量制度、標準運賃・貸渡料制度の廃止
現在、国土交通大臣は、毎年度適正船腹量を定め、これに照らして著しく船腹量が過大になるおそれがある場合には船腹量の最高限度を設定できるとされているが、競争的な市場環境の整備を図るため、これを廃止することが適当である。また、同様に、標準運賃・貸渡料の設定ができる制度も廃止することが適当である。
②公正かつ透明性の高い市場機能の整備
i)適正な取引環境の整備
本年6月の下請代金支払遅延等防止法の改正(平成 16 年4月施行予定)により、オペレーター・オーナー間の取引については下請法の適用対象となることとされており、公正かつ透明性の高い市場の構築を図る観点から、契約に関する書面の作成・交付等取引の適正化に資することが期待される。
また、荷主・オペレーター間の取引については、公正取引委員会において、独占禁止法の運用強化(特殊指定の活用等)が検討されており、内航海運業界の取引実態も踏まえ、公正・透明な市場機能を整備するため適切な措置が講じられるよう、国土交通省と公正取引委員会との間で十分な調整を行うことが必要である。
ⅱ)運送約款規制の導入
内航海運市場の透明性の向上及び利用者保護を図るため、不特定の者を荷主とする船種(RORO船、コンテナ船)の運航事業者に対し、運送約款の作成・届出を義務付けることが適当である。
ⅲ)営業報告書の提出
行政庁の適切な政策判断と説明責任の確保に資するため、内航海運業者に対し営業報告書の提出を義務付けることが適当である。
なお、営業報告書の具体的内容については、事業者の負担軽減のため必要最低限の内容とする必要がある。
(2)社会的規制の見直し
①運航管理制度の導入
現在、内航海運業法上、輸送の安全に関する規制は一切行われていないが、参入許可制の下、新規参入事業者について、厳しく事業者としての適格性の審査が行われ
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てきたところである。しかし、今後、許可制を登録制に緩和し、必要最低限の事項のみを審査することとするに当たっては、安全かつ安定的な輸送サービスの提供の観点から、運航管理体制の明確化等輸送の安全確保のための事後チェックの仕組みを構築することが必要である。
このため、船舶の運航を行う事業者に対し、運航管理規程の作成・届出、運航管理者の選任・届出を義務付けるとともに、輸送の安全確保のための事業活動の是正措置命令制度を導入することが適当である。
②船員の乗組み体制の見直し
船員の乗組み体制は、船員法における労働時間規制を満たす定員や航海の安全の確保のために必要な員数、船舶職員法における船舶職員配乗基準等を考慮して定められている。
近年における内航海運を取り巻く状況の変化に的確に対応し、内航海運の持続的発展と活性化を図るため、次のような見直しを行うことが適当である。
ⅰ)労働時間規制等の見直し
労働時間規制の合理化・弾力化を図るとともに、多くの船舶に見られる船員の恒常的な長時間労働の実態を是正するため、1日8時間労働、週平均 40 時間労働という現行規制は維持しつつ、新たに労使合意による時間外労働を認めることとし、総労働時間は、時間内労働と合わせて1日当たり最大 14 時間及び1週間当たり最大 72 時間までとする(ただし、船舶の安全航行を確保するための臨時の労働は、この枠外とする。)。
また、安全運航の確保のため必ず船舶に乗り組ますべき安全最少定員に加え、労働時間規制の遵守を確保するため、船員労務官の監査の目安として通常船舶に乗り組む総人員に関して標準定員を設定し、標準定員を割り込む乗組み体制の船舶については、必要に応じ、頻繁な監査を行う。さらに、監査情報照会システムの活用等により、労働時間の遵守状況等についての船員労務官の事後チェック体制を強化する。
このほか、雇入契約の公認制について、申請者の負担軽減を図るため、これを届出制に緩和するとともに、電子申請化を推進する。
ⅱ)配乗基準の弾力化等
航海当直を担当する乗組員の海事に係る知識・能力を向上させ、船舶の航行の安
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全を確保するため、船橋の航海当直を担当する乗組員は、最低1名を海技免状受有者とする。
また、船舶技術や業務実態を踏まえて配乗基準を弾力化するため、航海当直体制の維持等の航海の安全の確保に関して支障が生じず、労働時間規制についても遵守できると認められる船舶については、甲板部乗組員と機関部乗組員の兼務を認めることとする。
さらに、船舶職員に係る配乗基準につき、沿海区域と近海区域の間に船舶安全法上の限定近海に相当する航行区域(沖縄関係は除く。)に係る配乗表を新たに設け、資格要件等を緩和する。
③海上労働力の適正かつ円滑な移動の確保
i)常用雇用型船員派遣事業の制度化
近年の内航海運をはじめとする海上運送事業者においては、物流効率化の要請等が高まる中、予備船員まで含めた船員を自社で雇用、訓練することが経営的に困難な状況にあることから、需給に応じて必要な乗組員を確保する場合には、事業者間において一々船員を転籍させる等の煩雑な対応が行われており、船員にとっても雇用の安定を確保することが困難な事態となっている。また、船舶の航行の安全のためには、船員に対する技能の向上等のための教育訓練が不可欠であるが、企業間を船員が移動する状況にあっては、教育訓練を行うべき企業が分散することにより、結果として船員にとって十分かつ体系的な教育訓練を受けることができないということも懸念される。
こうした問題点を解決するためには、船員の労働保護を図りつつ船員の移動を適正かつ円滑に実施できることを可能とすることが適当である。したがって、具体的には、船員の雇用の安定の確保と教育訓練を適切に実施する観点から、船員の雇用関係が常時雇用の形態であって供給元に一元的にある場合にのみ派遣事業として認めることとし、あわせて、労働保護を図るために、派遣船員の労働に係る派遣元と派遣先の責任関係、労働条件等を明確にすること等を内容とする船員職業安定法の改正を行い、船員派遣事業を新たに制度化することが適切である。
ⅱ)無料船員職業紹介事業の拡充
我が国の海上運送事業者が厳しい経営環境に直面している中、海上運送事業における新規学卒者等の若年船員の雇用は減少してきており、将来的な船員不足が懸念
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されている。船員教育を行う学校等については、その目的が船員を養成し海運界に送り出すことにあることに鑑みれば、自ら船員職業紹介事業を実施できるよう措置することは、新規学卒者等の就職の促進により将来の船員不足の解消に資する観点から、極めて有効である。
そのため、船員職業安定法の改正を行い、現在、国以外には船員や船舶所有者を代表する団体等に限られている無料船員職業紹介事業を行うことができる者として、これらの学校等を含めることが適当である。
以上が新しく加わった部分でございます。
それから、最後の 12 ページに「おわりに」ということで書かせていただきました。
おわりに
諮問第 21 号に関し審議した結果は以上のとおりであり、当審議会は、今後、国、民間の内航海運関係者が、本答申で示した方向に沿って、内航海運を活性化し、内航海運が期待される社会の要請に十分に応え得るよう、最善の努力を尽くしていくことを期待する。
また、当審議会としても、今後の諸情勢の変化等をみながら、本答申に掲げた内
航海運活性化の基本的考え方や具体的施策の展開について、必要に応じ意見を述べ
ていくこととする。
それから、その下に「答申案の変更箇所について」ということで、表現にかかわる部分
ですが、大きく3つの部分について変更を加えてございます。
最初が3ページの「競争制限的な市場構造」のところでピラミッド型の市場構造云々
ということを書かせていただいた部分ですが、「市場構造」という言葉がダブるような形
で使っている。もとの姿が「内航海運、とりわけ産業基礎物資輸送の市場構造は、特定荷
主への系列化、元請・下請の多面的な取引関係等ピラミッド型の市場構造となっている」
というふうに、「市場構造は」と来てまた「市場構造」となっているということで、この
辺は「市場構造はピラミッド型となっている」に修正したらいかがかということでござい
ます。
2点目は 10 ページでございまして、「船舶共有建造制度を活用した物流高度化船の建
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造促進」の物流高度化船の定義といいますか、説明的な部分でございます。中に「12%以上」とか「10%以上」という記述をしていた部分ですが、答申の表現としてはいささか技術的に過ぎるということで、むしろ考え方を示すという意味で、数字は抜いて、例えば「従来の船舶と比べてCO2低減効果のある船舶」云々という形で記述してはいかがかということでございます。
それから、11 ページでございます。これは2カ所同じような部分が出てまいりまして、次世代内航船の部分と高度船舶安全管理システムの部分でございますが、原案では「国土交通省では、本船の研究開発を 13 年度から開始し、17 年度中の開発、実用化・普及を目指すこととしているところであり……早期の実用化が強く期待される」という記述で、もう一つも同じように「国土交通では、」云々と書いてあるわけですが、「期待される」の主体が国土交通省であるかのような読みにくさがあるので、むしろ「本船舶」あるいは「本システム」というものを主語に置いて、「本船は、研究開発が進められているところであり、早期の実用化が強く期待される」というふうに端的に記述をさせていただきたいということでございます。
以上でございます。よろしくお願いします。
○部会長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、委員の方々から御意見、御質問がござい
ましたら、お願いを申し上げます。
○全日海 1点、要望しておきたいと思います。
内航海運の活性化並びに海上物流システム高度化の方向性については否定するものではありません。ただ、それぞれ具体的な施策に当たっては、船員労働の関係につきましては内航船員制度検討会、それから船員の雇用関係につきましては内航船員職業紹介等研究会の検討機関でそれぞれ議論もされ、また検討されてきたと思います。そういった中で、今の内航船員労働あるいは雇用の実態がつぶさに明らかになってきたところだと思います。
今後の施策に当たっては、こうした内航船員が置かれている実態を十分踏まえた中でそれぞれの具体的な施策についての対応をお願いしたい。この点だけ、よろしくお願いしたいと思います。
○部会長 ありがとうございました。御要望ということで御発言がございました。
関連して何か御発言があれば承りますが、よろしいでしょうか。
それでは、ほかにいかがでございましょうか。
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○内航総連 先ほど参事官は説明されなかったのですけれども、スーパーエコシップのところです。読みますと、いいことずくめで書いてあって、悪いことが一つも書いていないですね。例えば、燃料が節約できるとか、メンテナンスフリーがいいとか、労働環境づくりだということですが、燃料は 1.5 倍ぐらい高くなるんです。ガスタービンにはA重油の非常にいい油を使わなければならないが、今の内航海運の実態は、199 型船舶でも、ひどいものになったらA重油とC重油を混ぜて使っているような社会です。燃料代が倍ぐらいになりますよということは一つも書いていない。いいところだけを書いたら、いいところ取りで期待されることになってしまう。そこら辺は、技術屋さんに大変失礼なことになるかもしれんけれども、あまりにいいことばかりを書かずに……。造船屋さんは、テクノスーパーライナーでも何でも、いいことばかり言っているけれども、みんなうまくいっていないので、局長さん、その辺を考えて宣伝してもらわないと困るのでよろしくお願いします。
○部会長 ありがとうございました。
今の御指摘に関して何かございますでしょうか。
○技術課長 御指摘の点につきましては、油は確かに高いものを使うということで、全体でスーパーエコシップの燃費が上がるのではないかということは事実でございまして、さらに燃費を向上させるようなところも技術開発の目標としてやっていこうということで努力していきたいと考えているところでございます。
○内航総連 それはよくわかるんですが、貧乏人ばかりの社会だから、銭に関してはものすごく厳しいんです。役所がいいかげんな数字を挙げてもらうと困るんです。
○技術課長 技術開発の目標として、既存のディーゼルエンジンにいかに近づけていくかということで現在鋭意やっているところでございます。
○内航総連 メンテナンスも、今のディーゼルエンジンだったら少々のことなら放っておいても動くけれども、これは何時間したらピシッと変えなかったらいかんということですね。説明に来た人はいろいろいいことを言うけれども、そういう点を突いたら、しどろもどろで、課長さんは今たまたま燃費が高いことを認めたけれども、総合的にみたらよくなるのだということばかり言う。内航の連中というのは無知だから、お金に関することは特に敏感だし、オペレーター、運航者、荷主さんが厳しいから、夢のような格好ばかりを言わんようにしてもらいたいんです。
○技術課長 今御指摘のメンテナンスのことにつきましても、ガスタービンと電気推進
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を採用することによって、船上でのメンテナンスをいかに合理化していくかということを技術開発の目標としてやっているところでございます。
○内航総連 それはよくわかるんです。造船所を陸上へ持っていってやらなかったら、どうにもできないようなことになる。船の上で何もしないでもいいけれども、造船所は丘へ持っていったらお金が要りますよということを一つも言わないから、ややこしくなっている。今はみんな総合的に安くやっている。これ以上安くできるのなら話は別ですよ。四国へも皆さんが来て相当宣伝されましたけれども、そういうことを言うと、みんなよそを向いて帰ってしまうので、悪いことは一つも言わない。その辺はお役所もちょっと考えてもらわないといけないのではないかということです。
とにかくお金がない社会だから、その点はよく考えて、これ以上安く、いかに船が動けるかどうかということを考えてもらいたいのです。
○部会長 では、局長からお願いします。
○海事局長 おっしゃるとおりでありまして、スーパーエコシップの技術開発で実証実験をやるということですが、11 ページの真ん中、「また、」以下に「次世代内航船としての普及のためには、既存船に対する経済面での優位性の確保が重要であり、本船の特徴を活かしてランニングコストを含むトータルコストの低減を実現するとともに、導入・普及のインセンティブとなるような支援を行っていくことが必要である。」と書いてございます。確かにここの部分は技術的なよいことが書いてあるということですが、我々も今の船と比べて、こっちに移ろうというインセンティブがなければ移らないわけでございまして、そこのところは、「実証実験の実施と併せて、船員の乗組体制や各種設備の安全基準等の適切な見直し」、そういうものをトータルで考えて、実証実験が終わるときまでに移ることが可能な体制なり何なりを考えていきましょうということでございます。
確かにおっしゃるとおり、最初のところだけを見ていると技術的にいいことばかり書いてあるということですが、それができれば、すぐに次世代、スーパーエコシップが実用化されるということを言っているわけではなくて、既存の船との比較において使えるような形にならないとだめだということは十分に認識しておりますし、その辺は実証実験の中で考えていきたいと思っておりますので、またその場でもいろいろ御意見をいただければと思っております。
○部会長 御指摘の点は、実は前の議論のときにもコストの問題が出まして、加藤先生
もいらっしゃって、いろいろ議論しました。それを踏まえて、この「また、」以下のパラ
*****10*****
グラフが入っていて、もちろんそういうことが必要だということを押さえているという趣旨だろうと思います。
しかし、今日は取りまとめの仕上げの段階ですので、御指摘のような点を踏まえたときに、「また、」以下のパラグラフで押さえをきかせてありますということですけれども、何かさらに工夫が必要とお考えか。それとも、そういうことであれば、今回はこれでいい、しかし今後はそれを強く受けとめてやっていただきたいというふうにお聞きしておけばよろしいか、その辺はいかがでございましょうか。
○内航総連 現実にこうやって物事を書いた上だけでも悪いことはわかっているのに、お役人というのはいいことばかり並べて、ここがいいですよ、いいですよというふうに理想論の夢みたいなことばかり言う。内航海運は、ピリピリして、どうにもならないときですから、こんな理想的なことばかりを書くのではなくて……。これは話の筋道が違うんで、研究部会の研究所の方でやらないと……。
○部会長 そうしますと、今のような御指摘は……。
○内航総連 だから、そこらの方向を書いておいてもらわなかったら、いかにもうまくいくんだという錯覚を起こしてしまうのです。
○審議官 11 ページのところで途中を抜いて読みますと、「また、」のところで「トータルコストの低減を実現することが必要」とありまして、その下に、「このため、船員の乗組み体制や各種設備の安全基準等の適切な見直しについて、検討を進めることが必要である」ということで、そういうものについて検討を進めなければいけないということをここでちゃんと書いてあるわけでございます。ですから、副会長のお話は、これから先の話になりますけれども、ここをしっかりやっていくということだと思います。
○内航総連 第二のテクノスーパーライナーにならないように望んでいるんです。あれでも結局、内航に押しつけてきて、にっちもさっちもいかないで困っている。何とかして断る理由はないかと思うけれども。反対する研究者の方が多いのだから、研究をしている人が、こんなものは時代遅れで、こんな銭のかかるものをしたらいかんと言っているのに、役所は一生懸命に押しつけるから、審議官、そこらの問題はちょっと考えてもらわないと。こういうものに金をかけるのだったら、もっと我々を助けてもらいたい。
○部会長 どうぞ。
○委員 その点は、技術的にかなり議論したんです。それから、いわゆる技術の中、確かにスーパーエコシップ、今やられているものは、陸上の運転試験をやったりして、大分
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できている、こういうことで、それを地上側へ持っていきましょうという話ですけれども、やはり使われないとどうしようもない。新しい技術は、テクノスーパーライナーのときの失敗と言ってはいけないかもしれませんけれども、やはり使われなかったということをみんな非常に強く認識している。
今回、最初のプログラムの中で、研究所でどういったルートにこの船を置いて、どのぐらいの燃費等の使用が満たされれば、それが本当に使われるか、あるいは速度もそんなに出す必要はないかもしれないとか、こういう検討を最初にやったはずなんです。それが採算にのるかどうかということも一応きちんとやっているはずです。また、その辺が技術的な開発の方に反映されていかないと、船の大きさなんかも違ってしまいますし、最適なところが全然見つからないということになってしまうと思います。
ですから、今おっしゃられたことは非常に重要なことなんですけれども、造船の立場でも、せっかくつくったものが使われないというのは全く意味のないことですから、これについては、需要、マーケティング、そういったことまできちんと含めてやっていただけたらと思います。議論の中では随分やってきたんですけれども、具体的に見えないところがあるかもしれませんね。
○技術課長 今の御指摘につきましては、非常に重要だと認識しておりまして、ここに記載されておりますようなトータルコストの低減が実現できるように、技術開発の方もそういう具体的な御提案ができるように頑張っていきたいと考えております。
それで、これからの技術開発の成果をより具体的に反映できるような形で、今のコストの検討等に生かしていきたいと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
○部会長 この件に関連して、ほかにもございますでしょうか。
それでは、今御指摘のありました点については、私の方に一任いただければ、事務局とよく相談して、そういう御指摘の点等について、必ずしも一方的にとられるようなものでないかということも検討した上で整理したいと思いますので、ひとつよろしくお願いいたします。
○内航総連 よろしく。
○部会長 ありがとうございました。では、ほかにいかがでございましょうか。
○委員 前回と今回、集中的に勉強いたしまして、基本的な流れが理解でき、また貫いている考え方は現実的かなと思いました。私は決して市場万能論者ではないのですけれど
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も、今、市場機構を活用していって、そして創意工夫を最大限引き上げるというのは時代の要請でもあるし、また運輸部門だけがそれに取り残されますと社会的にも問題が出てくるだろう。そういう観点からいたしますと、この基本的な方向づけは私自身は納得しております。
そこで一つだけ申し上げておきたいのは、前回、私が、例えば乗組員規制等の問題は社会的規制に入っているけれども、経済的規制ではないかと、こんな意見を申し上げたと思います。ところが、よく読んでいきますと、前後の脈絡をちゃんとたどらなければいけないのではないかというふうに思いました。私自身の解釈は、5ページの「(2)社会的規制の見直し」の第2段落で、「近年の技術革新の進展、経済社会情勢の変化等に対応して、安全運航の確保を前提としつつ、」という一文が入っておりますので、これを受けた形で乗組員の問題も考えていくべきだという解釈をしますと、社会的規制という範疇にしても別段問題ないのではないかと思いました。
と申しますのは、その脈絡は、これは全く技術的なことですが、3ページの(2)の①の第2段落でモーダルシフト化率の%が書いてあるんですが、これは言うまでもなくトンキロで、ここで書いていなくても1ページを見ればそのことはすぐわかるわけで、あえて繰り返す必要はないのではないか。そういう観点からいたしますと、社会的規制の問題も5ページで書いてありますので、よろしかろうと思います。ただ、あえて言えば、「また、」という付帯的な扱いでいいのかという点は問題点として残ろうかと思いますけれども、これは読み手だけの問題だと思います。
それから、もう一点、これは非常に細かいことで、重箱の隅を突つくようで申しわけないのですが、11 ページの「②高度船舶安全管理システム」のところで出てくるIT技術ですが、これはインフォメーション・テクノロジーですから、そのままいくと「IT技術技術」になってしまいます。ただ、日本ではよく「IT技術」という言葉を使いますので、それにならうのであればいいと思いますけれども、審議会としてはこれは削った方がいいのではないか。そんな感じです。
以上でございます。
○部会長 ありがとうございました。
第2点の方は、確かによく使ってしまうのですね。でも、ここのところは直しておいていただきましょう。
それから、第1点は、ほかならぬ雅洋先生からこの間御指摘をいただいたわけですけ
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れども、その後読んでくださって、流れを逆にきちんと説明してくださったという面もございます。大変ありがとうございます。
そういう観点ですが、「また、」というところがあるために逆に少し弱まっているのではないかと、そういう御指摘ですが、これはどういたしましょう。
○海事局長 ちょっと考えてみます。
○部会長 御検討いただいて、もし必要であれば、そこのところを適切に直していただくということにしたいと思いますが、それでよろしいですか。
○委員 結構です。
○内航総連 7ページの②の下のⅱで「運送約款の規制の導入」とありますね。内航で運送約款の検討をしていましたら、最近、コンテナ船、RORO船がいわゆるスルーB/Lで、外国から輸入しているコンテナについて国際海上物品運送法と国内の海上運送法との矛盾が相当出てきたので、国内の輸送区間について、国際海上物品運送法に合わせるような法の整備をしていただけるようにお願いしたいんです。ここには書いてありませんが、外国からスルーB/Lで来たものを国内の内航船に積んだ場合、特に免責問題ですけれども、国際海上運送法と国内の海上運送法とに矛盾点が出てきて、これをつくるのなら当分は2枚つくらないといけなくなる。一つの会社で一つの荷物に2通つくって、あなたは国内だけの荷主さんだから国内用です、外国から来たスルーB/Lの荷主さんにはこうですということで、今、総連合で研究しているんです。
○国内貨物課長 約款については、一部、導入している事業者もおりまして、そういうような事業者の御意見も伺いながら標準的なものはこれから準備していこうと思っておりますので、またいろいろとお知恵をかしていただければと思います。
○海事局長 御趣旨はわかりますので、どうやって合理的にできるかというのは検討したいと思います。
○部会長 ほかにいかがでしょうか。
○内航総連 私はそれで結構です。もうこれ以上言いません。
○部会長 よろしゅうございますか。
それでは、これ以上特段の御意見がないようであれば、今日頂戴しました御意見、特に大きく修正するようなものはもちろんございませんでしたが、微妙なところは御一任いただいて、後で事務局と相談して整理をしたいと思います。その上で内航海運部会の答申案として、海事分科会の方に報告をさせていただきたいと思います。事務局の方、ひとつ
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よろしくお願い申し上げます。
では、そういうことでよろしゅうございましょうか。
(2)その他
○部会長 それでは、議事次第の(2)はその他ですけれども、事務局から何かございますでしょうか。
○参事官 内航海運部会の委員の皆様方には、大変御多用の中、本年6月から5回にわたりまして大変活発な御審議をいただき、本日ここに答申案をおまとめいただきまして、まことにありがとうございました。
次回の海事分科会につきましては、御案内のとおり、12 月 11 日(木曜日)1時から、ここ3号館の 11 階の特別会議室において開催させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○部会長 それでは、以上をもちまして第5回の内航海運部会を閉会とさせていただきます。
お忙しい中、御出席いただきまして、大変ありがとうございました。
閉 会
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