内航海運の活性化に向けた今後の方向性検討会

概要(以下、国土交通省ホームページより引用)


内航海運業は国内物流の約4割、産業基礎物資輸送の約8割を担う我が国の経済活動と国民生活を支える大動脈として重要な産業であるが、船舶と船員の2つの高齢化、中小企業が99.6%を占める脆弱な経営基盤への対応など、様々な課題を抱えています。
こうした中、2015年7月の交通政策審議会海事分科会基本政策部会取りまとめにおいて、これらの課題に対し、「新たな環境への適応を見据え、どのように効果的な解決へとつなげていくことができるか、行政や事業者団体等の関係者間で議論・整理を行い、取り組むべき方向性を検討することが必要」との方向性が示されました。
一方、国土交通省では、あらゆる分野で生産性の抜本的向上を図るための具体的取組を進めるべく、2016年3月に「国土交通省生産性革命本部」が立ち上げられ、また、物流分野においても効率化・省力化による生産性向上を目指していくこととなっています。
内航海運においても、我が国の産業全体を物流の面から着実に支えていくとの視点に立ち、自らの事業のあり方を見つめ直し、安全・良質な輸送サービスを持続的に提供できる産業として発展していくことが求められています。同時に、荷主等の関係者においても、人口減少・少子高齢化の進行等による我が国の国内貨物輸送量の減少、労働力不足の顕在化を踏まえ、事業者による取組のみならず、物流を維持・発展させていくとの観点から、荷主等と事業者間の関係者間で相互に一層連携していくことが重要です。
そこで本検討会においては、これまでの取組の延長線に留まらず、あらゆる観点から、内航海運の中長期的なあり方と、それに向けて関係者が取り組むべき方向性について、幅広い関係者による議論を通じて検討するものです。


◇第1回(平成28年4月8日)

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◇第2回(平成28年5月26日)

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◇第3回(平成28年7月1日)

開催案内

◇中間とりまとめ(平成28年7月29日)

概要 / •本文

◇第4回(平成28年10月28日)

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◇第5回(平成28年12月16日)

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◇第6回(平成29年2月17日)

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◇第7回(平成29年4月21日)

開催案内

以下、会員専用

第一回議事録

国土交通省 内航課,『内航海運の将来像を描く新たな内航ビジョン策定に向けた議論を実施 ~第 1 回内航海運の活性化に向けた今後の方向性検討会の開催結果~』,平成28年4月11日

1.日 時:平成 28 年 4 月 8 日(金)13:00~15:00
2.議 題:(1)内航海運業の現状等
(2)内航海運関係者との意見交換結果を踏まえた課題
(3)意見交換
3.構成員:別紙名簿のとおり
4.会合概要
(1)内航海運業の現状等
内航海運業の現状(薄い利益性による船舶の代替建造の遅延、高齢化が進む船員等)、課
題改善に向けた工夫の例などに関し、海事局より報告を行いました。
(2)内航海運関係者との意見交換結果も踏まえた課題
昨年秋より実施してきた内航海運事業者、荷主、金融機関、造船事業者等との意見交換
を踏まえ見出された課題やニーズなどに関し、海事局より報告を行いました。
(3)意見交換
議題(1)、(2)を踏まえ、内航海運事業者、荷主、有識者等、それぞれの立場から、
内航海運における経営状況、船員確保等に係る現状認識や現場が抱えている課題、それら
を取り巻く事業環境等について意見が示されました。
この中で、内航海運の産業としての持続的な発展に向けた具体的な方策を検討していく
上で、荷主、内航事業者等の民・民間での取組みのあり方、国が取るべき施策のあり方を
整理すること、荷主と内航海運事業者との間、内航海運業者同士の間で適正な運賃・用船
料を収受できる関係としていくことを目指すこと、他の輸送モードとの戦略的な競争を目
指すことなど、内航海運関係者の身内からの発想に留まらず幅広い視点からの検討が必要
である等の意見がありました。


海事局 内航課,内航海運における課題・ニーズを踏まえた早急に着手すべき取組について議論 ~第2回内航海運の活性化に向けた今後の方向性検討会の開催結果~,平成28年5月27日

1.日 時:平成 28 年 5 月 26 日(木)14:00~16:00
2.議 題:(1)早急に着手すべき取組の検討
(2)意見交換
3.構成員:別紙名簿のとおり
4.会合概要
前回会合で整理した内航海運の課題・ニーズを踏まえた5つの目指す姿・テーマ(①産業構造強化、②船員確保育成、③船舶建造、④業務効率化、⑤需要獲得)ごとに、早急に着手すべき取組について議論を行い、内航海運事業者、荷主、有識者等、それぞれの立場から様々な意見が示されました。主な意見は以下の通りです。
①産業構造強化
・ 産業構造強化の観点からはオペレーターを育成するというよりもオーナーの力を強化する方策を考えるべきではないか。
・ 悉皆調査を行うにあたっては、労働環境や、どのようなことに着目して運賃・用船料交渉や船舶投資などの意思決定を行っているのかといったことが明らかになるような調査とすべきではないか。
②船員確保育成
・ 船員の確保育成を検討していく上において、現状のみならず 10~15 年後にどのような状況になるのか、将来予測を見据えることが必要ではないか。
・ 荷主-オペレーター-オーナーの連携をより強化していくことが重要であるが、必要となる船腹量・船員の必要数を定量的に明らかにした中で対話を図っていくことが必要ではないか。
③船舶建造
・ 省エネのみならず、船員の労働環境改善などにも配慮した、人と環境にやさしい船舶の建造の推進を図ることが必要ではないか。
・ 他モードとの競争の激化を考えれば、例えば、一度、既存の規制を度外視した究極に効率的で最先端の技術を搭載した省力化した船のモデルを作ることができないか。
④業務効率化
・ 荷主のオーダーによっては非効率な運航となることもあり得るが、それに応えていく体制を海運事業者側に整えてもらうこともサービス水準の向上の一つとの認識をもってもらう必要がある。
⑤需要獲得
・ 新規荷主等の獲得につなげる業界横断的な連携体制の構築、一括情報提供サイトの構築に向けたきっかけ作りを国が推進していくことは望ましい。
第 3 回会合は、7 月初に開催し、短期的取組みについて中間とりまとめを行う予定です。


第4回 内航海運の活性化に向けた今後の方向性検討会 議事概要
・日 時: 平成28年10月28日(金) 16:00~18:00
・場 所: 合同庁舎3号館11階 特別会議室
・主な意見等:
○ 「安定的輸送の確保」及び「生産性向上」の2つの方向性を今後中長期的に目指すべき方向性として設定することについて異論はない。
○ 「安定的輸送の確保」及び「生産性向上」の2つの方向性については、並列というより「安定的輸送の確保」を行うための一つの考え方として「生産性向上」があるのではないか。今後、船舶建造をどうするか、船舶金融のあり方をテーマとすべきである。
○ 「安定的輸送の確保」、「船舶の大型化」を志向するのであれば、港のインフラの脆弱性を克服する必要がある。
○ 「生産性向上」を目指すためには、少ない船員で輸送できる船の構造にするのが近道ではないか。例えば、総トン数 499 総トンを維持したまま積みトン数(載貨重量トン数)を増やすなどの取扱い等が考えられる。
○ 今後、産業基礎物資の輸送需要が横ばいもしくは減少傾向と予測される中で、増加するネット販売等の貨物を取り込むために、インフラの整備も含め、陸と海の結節をもっと密にする必要がある。
○ 「安定的輸送の確保」と「生産性向上」を目標とすることに異論はない。前者では、産業基礎物資の輸送量の増加は期待できないため、モーダルシフトの推進が重要となる。後者では、共同配船による効率化への支援もあり得るのではないか。平成 36 年度に暫定措置事業が終了することを見通して、共同でどう力をつけるか、また新規参入をどう登場させるかも視野に入れるべきである。
○ 産業の活性化に向けては新たなプレーヤーの参入や多様性のある色々なサービスが拡がることが不可欠である。
○ 暫定措置事業終了後、新規参入事業者が増えると小規模事業者では船舶建造が難しくなるため、船舶管理会社が重要になる。船舶管理会社がどう力をつけていくのか、今のままで良いのかという視点も重要である。
○ 船内の船員居住空間を拡大しても、総トン数が 499 総トンに維持されるような取扱いにしてもらわないと、船員の確保・育成に支障が生じる。新人船員を乗船させたいけれどもできないという声に柔軟に対応してもらいたい。
○ 岸壁を新たに整備することなく、大型船が入港できるよう沖合で荷役する等の工夫も考える必要がある。
以上


『内航海運を巡る社会経済情勢等と事業環境の変化について』

(1) 内航海運を巡る社会経済情勢等について

内航海運の輸送概況

  • 内航海運は、国内貨物輸送全体の44%、鉄鋼、石油製品、セメント等の産業基礎物資輸送の約8割を担う我が国の国民生活や経済活動を支える基幹的輸送インフラである。
  • 国内貨物輸送全体におけるシェアは、トラック運転手の不足等も背景に近年わずかながら上昇傾向となっている。

内航海運の輸送量と経済状況

  • 内航海運の輸送量の推移と実質GDP実額の動向については、一定の連動が見られる。これは、内航海運の取り扱う貨物の多くが産業基礎物資となっていることに起因すると考えられる。

今後の経済状況の見通し(内閣府試算)

  • 今後の経済状況の見通しについては、実質・名目GDP成長率は、ベースラインケースでは横ばい・微減傾向だが、経済再生ケースでは実質GDP成長率は中長期的に2%以上、名目GDP成長率は中長期的に3%以上と推測されている。

主要貨物輸送量の見通し・荷主企業の経営統合の状況

  • 荷主業界団体等における今後の生産見通しは、いずれも減少もしくは維持と見込まれており、内航貨物輸送量についても同様の傾向が見込まれる。
  • 荷主業界においては、国際競争の進展、国内市場の縮小等を背景に、企業間の経営統合等が進んできている。

環境面での対応の必要性の高まり(CO2排出)

  • CO2排出量については、ここ10年程度の間では内航船舶全体で11%減少しており、また、トン数あたりのCO2排出量については2.25トンCO2/G/Tから1.89トンCO2/G/Tへと15.6%減少しており、船舶の省エネ性能の向上が進んできている。
  • 地球温暖化対策計画(平成28年5月13日閣議決定)に基づき、海運分野においては2030年度までに2013年度比で15%のCO2削減(157万トン-CO2)等が求められており、この目標の達成に向けた対策が必要となっている。

環境面での対応の必要性の高まり(Sox排出)

  • 我が国の領海内を含む一般海域において、船舶の排出する硫黄濃度を0.5%以下とする規制が2020年1月又は2025年1月より適用される方向となっている。これにより、今後、全ての内航貨物船においては、A重油への切り替え、スクラバー(排ガス洗浄装置)の搭載等の対応が必要となる。

経済性・効率性の高い物流モード

  • 一般的な内航貨物船の船型である499総トンの船舶1隻で10トントラック約160台分に相当する輸送が可能であるなど、内航海運は経済性・効率性に優れた特徴を有する。

さらなるモーダルシフト推進の必要性

  • 昨今のトラック運転手の不足傾向やトラック輸送における労働時間規制等から、雑貨貨物の輸送トンキロは直近10年間(平成17年度から平成26年度)までの間に11%増加している。
  • 今後、「交通政策基本計画」(平成27年2月13日閣議決定)等に基づき、平成32年に平成24年度比で約1割増加に相当する367億トンキロを目標として、さらなるモーダルシフト促進に向けた取組を加速させていく必要がある。

物流産業における労働力不足の状況

  • 運輸業・郵便業においては、全産業と比べて労働者が不足していると考える事業所割合が高く、特にトラック運送業においては人手不足を感じている事業者が半数を超えているなど、人手不足感が強い。

トラック運転者の労働時間規制の厳格化

  • 昨今、トラック運転者の労働条件の改善に向けた取組が強化されており、例えば、東京~福岡間のトラック輸送を行う場合は2名の運転者を使用する必要があるなど、トラック運転者の不足状況をより深刻化することとなっている。

「物流生産性革命」の推進

  • 近年の我が国の物流は、トラック積載率が半分以下の41%となっているなど効率性に課題がある。このため、物流の生産性を向上させ、将来の労働力不足を克服し、経済成長に貢献していくことが必要となっている。

内航海運の災害発生時等の対応

  • 内航海運は、大規模災害発生時等において緊急支援物資や部隊輸送における輸送手段として不可欠の役割を担っている。本年4月に発生した熊本地震においても、水、食料等の緊急支援物資、電力、ガス等のインフラ復旧関係者・機材の輸送を担った。

地域経済を支える産業

  • 内航海運(計3,040事業者)は西日本地域を中心に地方に所在する事業者が多く、造船業等とあわせて地域の経済を支えている。例えば、内航船舶は全て国内造船所において建造されており、地域の造船所に発注することにより、舶用工業その他関連産業へ波及効果が拡がるとともに、地域の金融機関の主要な融資先の一つとなっている。

(2) 内航海運を巡る事業環境の変化(概ね10年間における変化)

輸送実績の推移(全体)

  • 経済の停滞、輸送の効率化の進展等により、内航貨物全体の輸送トンキロは14%減少、輸送トン数は13%減少となっている。

輸送実績の推移(主要品目別)

  • 主要品目別の輸送量でみた場合、いずれも減少もしくは横ばい傾向にあるが、特に石油製品の減少率が大きく、輸送トンキロでは22%減少、輸送トン数では35%減少となっている。

事業者数の推移

  • 輸送需要の減少等に伴い全事業者数は23%減少しており、特にオーナーは3割以上減少している。
  • 一方、新たにオペレーター業を開始したオーナー数は最大で164者、現在(平成27年度)は131者となっており、オペレーター全体の9%程度にとどまっている。

船腹量の推移(全体)

  • 内航貨物船全体の隻数は16%減少している。
  • 一方、総トン数は5%増加しており、船舶の大型化が進展している。

船型別船腹量の推移(全体)

  • 内航貨物船全体の隻数が減少しているが、特に小型の船舶の減少が大きく、減少した船舶数934隻のうち76%に当たる708隻は200総トン以下の船舶である。一方で、3,000総トン以上の大型船は3割増加している。
  • 1隻あたりの平均総トン数は約25%増加しており、船舶の大型化が進んでいる。

船型別船腹量の推移(船種別①)

  • 貨物船、油送船については隻数が減少しているものの、総船腹量はそれぞれ18%、31%増加しており、1隻あたりの平均総トン数は貨物船では30%増加、油送船では57%増加しており、船舶の大型化が顕著となっている。

船型別船腹量の推移(船種別②)

  • 専用船、RORO・コンテナ船については隻数は減少しているものの、1隻あたりの平均総トン数が専用船では16%増加、RORO・コンテナ船では22%増加しており、船舶の大型化の傾向が明らかとなっている。

新造隻数・船腹量の推移

  • 新造船の年間建造数については、平成のバブル景気の影響を受けた時期(平成元~8年度)は年間平均236隻建造されていたが、概ねここ10年間は年間平均80隻の建造となっており、70~90隻程度の範囲内で推移している。

1事業者あたりの平均保有隻数・平均保有総トン数の推移(オペレーター)

  • オペレーター1事業者あたりの保有船舶数、支配下船団の隻数は、いずれも横ばい若しくは微減であり、事業者の規模の変化はあまりない。
  • 一方、1事業者あたりの保有船舶の平均総トン数は平成17年以降14%増加しており、船舶の大型化が進展している。

1事業者あたりの平均保有隻数・平均保有総トン数の推移(オーナー)

  • オーナー1事業者あたりの平均保有隻数は10%増加しており、2隻近く保有している事業者が平均となってきている。
  • また、1事業者あたりの平均保有総トン数は、37%増加しており、事業規模も拡大している。

保有隻数別の事業者数の推移(オーナー)

  • 保有隻数2隻以下の事業者数は大きく減少しており、特に1隻の事業者(いわゆる一杯船主)は39%の大幅な減少となっている。
  • 一方、7隻以上保有する事業者数は61%の大幅な増加となっており、オーナーにおいても事業規模の拡大が進みつつあることが伺える。

内航海運事業者の売上高、営業利益率

  • 1事業者平均の売上高については、オペレーター・オーナーともにリーマンショック等の影響で平成21~22年度に落ち込んだものの、近年やや持ち直しつつあり、平成17年度と比較すると、オペレーター、オーナーともに増加している。
  • 平均営業利益率については、リーマンショック期の落ち込み等あり、オペレーター・オーナーともに平成17年度の水準までは回復していない。

船舶管理会社の展開の状況

  • 船舶管理会社については、オーナーの事業展開の多様化・円滑化の推進に有効な手段として、ガイドライン等を順次整備し、その活用を推奨してきている。
  • 平成18年に8者であった船舶管理会社数は、現在39者まで増加しているが、未だその活用が十分進んでいるとは言い難い。

これまでの施策

  • 「船員職業安定法等の一部改正に伴う船舶管理会社及び在籍出向に関する基本的考え方」(H17.2 海事局長通達)
    • 違法な船員派遣事業又は船員労務供給事業に該当しない船員配乗行為を行うことができる船舶管理会社の要件を整理。
  • 「内航海運グループ化について」(しおり及びグループ化マニュアル)(平成20年3月公表)
    • 船舶管理会社を活用したグループ化のメリット、デメリット等を示しつつ、船舶管理会社の設立・運営の具体的方法について整理。
  • 「内航海運における船舶管理に関するガイドライン」(平成24年7月公表)
    • 船舶管理業務の実施にかかる手順・体制、船舶管理責任者等の任命、船舶管理規程の策定、重大な事故の発生時の対応等について体系的に整理し、船舶管理会社の定義や行うべき業務についてガイドラインを策定。

※ 提供するサービス水準や内容について事業者毎にばらつきがある等により、オーナーによる活用が十分進んでいないことなどが課題

船舶の老齢化

  • 船齢14年以上※の船舶が全体の7割を占める状況が継続しており、内航海運の良質な輸送サービスの安定的な提供の観点から代替建造の推進が急務となっている。※ 税法上における船舶の法定耐用年数
  • 14年未満の船舶の平均総トン数は、ここ10年程度の間では55%大型化している。

船舶の老齢化(船種別)

  • 船種別では、平成17年と平成27年の比較において、自動車専用船のみ老齢化率が改善されているが、その他の船種については老齢船の割合が増加している。一方で、土・砂利・石材運搬船を除き、7年未満の若年船の割合も増加している。

船員の高齢化

  • 50歳以上の船員の割合が全体の56%に達しており、依然、船員の高齢化の状況が継続している。一方で、若年船員確保に向けた官民の取組の効果もあり30歳未満の船員も増加しつつある。
  • 船種別では、全ての船種で50歳以上の割合の改善があまり進んでおらず、今後の操船の中心的な担い手となるべき30歳代及び40歳代の層の絶対数が少ないことから、担い手不足が懸念される。

海技資格別の船員数の推移

  • 海技資格別の船員数については、近年、構成割合に大きな変化はないが、5級の資格受有者が船長となることができる職域範囲である500総トン未満の船舶が減少しているなどの要因により、5級の資格受有者が航海は633人、機関は612人と大きく減少している。

内航船員新規就業者数の現状

  • これまでの取組により、海上技術学校や水産高校等の卒業生を中心に、新規学卒者の内航への就職は増加傾向となっている。

内航貨物船の事故件数の推移

  • 内航船の事故件数の推移については、ここ10年程度の間では24.3%減少しており、船舶の隻数の減少率(16%)以上に事故の減少率が大きくなっている。

前回のビジョン(H14.4)以降の主たる事業環境の変化等について

  • 次世代内航ビジョン(H14.4)を受け、平成17年度に内航海運業法等が改正されたところ、その後10年間で、オーナー1事業者当たりの保有船舶隻数が増加、オーナーからオペレーターへの移行事業者が約9%出現、事故件数の24.3%減少等の変化が見られた。
  • 今後の課題としては、さらなる事業者の経営体力の強化や船員の持続的な確保・育成、船舶の円滑な代替建造等が挙げられるのではないか。

次世代内航海運ビジョン(平成17年内航海運業法等の改正)の主な項目

○参入規制の緩和(許可制から登録制に、オペレーター・オーナーの事業区分を廃止)
○運航管理制度の導入(運航管理規程の作成・届出及び運航管理者の選任・届出の義務付け)
〇船員確保の円滑化(船員派遣事業の創設)

概ね過去10年間(平成17年度~平成26年度)の事業環境の変化

○事業者数の減少:全体23%減少、オーナー34%減少
〇事業者規模の拡大:オーナーの平均保有トン数37%増加
〇オペレーターに進出したオーナー:131者(オペレーターの9%)
〇船舶管理会社数の増加:船舶管理者協会所属事業者8者→39者
○内航船の事故件数の低下:24.3%減少
〇船舶の大型化:平均総トン数25%増加

今後の課題

○輸送の一層の効率化を見据えた、一段の事業者の経営体力の強化(船舶管理会社の活用等)
〇船員の持続的な確保・育成
〇船舶の円滑な代替建造
〇モーダルシフトの一層の推進
〇CO2削減、SOX削減等環境対応の強化


内航海運が中長期的に目指すべき方向性について

  • 内航海運が中長期的に目指すべき方向性として、「安定的輸送の確保」と「生産性向上」が重要ではないか。
  • 他にどのようなものが考えられるか。
  • これらの方向性(目標)について、何らかの具体的な目標値を設定することについてどう考えるか。

内航海運が中長期的に目指すべき方向性について

国内物流の基幹的輸送インフラとして、安全性の向上は前提としつつ、

  • 他の輸送機関では代替できない内航海運独自の役割である産業基礎物資輸送やモーダルシフトの担い手として、安定的輸送サービスを提供する必要は不変ではないか…安定的輸送の確保
  • 今後の輸送需要の横ばい・減少傾向、荷主企業の経営統合の動き、人口減少に伴う担い手不足の進展等を踏まえると、より一層生産性を高めることが必要ではないか…生産性向上

方向性の実現に向けた中長期的達成度合いを計る指標について(例)

安定的輸送の確保

○国内貨物輸送のうち内航海運による輸送分担率(H26:44%)
○内航海運の輸送量(H26:3億7000万トンキロ)
○内航海運による雑貨貨物輸送量(H26:331億トンキロ)

生産性向上

〇内航貨物船の平均総トン数(H27:715トン)
〇内航貨物船の平均積載トン数
○内航海運の平均積載率

方向性の実現に向けて講ずべき施策のテーマ(例)

安定的輸送の確保 生産性向上
・若年・女性船員の確保・育成の強化
・円滑な代替建造の支援
・新たな輸送需要の掘り起こし
・船舶管理会社の活用促進等
事業者の経営体力の強化
・船舶の大型化・省エネ化の促進
・効率的な運航のための技術の開発・普及
・先進的な船舶の普及促進

今後のスケジュールについて

内航海運の活性化に向けた今後の方向性検討会今後の進め方(案)
平成28年
第4回検討会(本日)
・ 内航海運を巡る社会経済情勢等と事業環境の変化について
・ 内航海運事業実態調査の結果について(暫定版)
・ 内航海運が中長期的に目指すべき方向性について
・ 今後のスケジュール

第5回検討会(12月予定)
関係者からの意見聴取①、論点整理①

平成29年

第6回検討会(2月予定)
関係者からの意見聴取②、論点整理②

第7回検討会(4月予定)
内航海運ビジョン(仮称)(骨子等)についての議論

第8回検討会(5~6月予定)
内航海運ビジョン(案)とりまとめの議論

平成29年6月頃目途
内航海運ビジョン(仮称)のとりまとめ・公表


12月委員会資料

第5回 内航海運の活性化に向けた今後の方向性検討会
議事概要
・日 時: 平成28年12月16日(金) 15:30~18:00
・場 所: 合同庁舎3号館11階特別会議室
・議題3『各委員からの意見表明』についての主な意見等

<女性・若年船員の確保・育成の強化>

○ 海技教育機構の定員の増員、499 総トン船の定員外の居住区について総トン数外とする措置の検討、女性船員の有効活用、機関部職員不足深刻化への対応が必要である。
○ 運賃・用船料は市況に左右されるが、船員不足については、構造の問題であり、マーケットで決まることとは別に議論すべき問題である。船員の確保や育成に必要な費用は、運賃や用船料とは別に、誰がどういう形で負担するのかといった制度設計を議論していくことが必要ではないか。

<新たな輸送需要の掘り起こし>

○ モーダルシフトを推進するのは荷主であり、モーダルシフトへの支援措置が直接荷主に裨益するような仕組みにならないとモーダルシフトは進まないのではないか。
○ フェリー、RORO船等の船舶情報検索システムの中に、船の到着時間を含めた情報を供給できるシステムを導入し、フォワーダーや荷主に対して広めていただき、空きスペースの有効活用を図ることが望ましいと考える。

<船舶管理会社の活用促進等事業者の経営体力の強化>

○ 船舶管理会社について、所有と管理とを分けて、管理をする上で何が必要なのかということを考え、船舶管理会社の業界における位置づけをきちんと設け、質の改善、それに対する評価をできるようにしていくことが必要と考えている。
<船舶の大型化・省エネ化の強化>
○ 船型の見直しをすることで15%~20%程度の省エネ効果が発揮できると考えており、船型の見直しも含めた省エネ格付け制度を検討してもらいたい。

<その他>

○ 安定輸送のために適正な船団形成を図る上で荷主とオーナーを繋ぐオペレーターの果たす役割が非常に重要であり、この役割をオペレーターがきちんと果たさないと計画的なリプレースや船員確保のバックアップが進まないのではないか。
○ 暫定措置事業終了後の船舶建造や組合の組織のあり方についての方向性について、出来るだけ早い時期に議論を始める必要性を報告書に盛り込んで欲しい。


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