内航船乗組み制度検討会:内航貨物船乗組み制度の見直しについて(最終報告),2003年12月(H15.12.09)
内航貨物船乗組み制度の見直しについて(最終報告)
平成15年12月9日
内航船乗組み制度検討会
平成14年6月20日の第1回の内航貨物船部会以降、10回にわたって審議してきたところ、最終報告として次のとおり取りまとめた。
1 背景等
(1) 我が国経済・国民生活を支える産業基礎物資の国内輸送の大宗を担う内航海運は、エネルギー効率が高く地球環境の点で優れているばかりか、輸送効率が高く物流効率化の観点でも優れているが、近年、産業構造・輸送環境の変化に対応して輸送コストの削減が強く要請されており、厳しい経営環境にある。
(2)近年の船舶設備機器の進歩、更に の TSL 事業化、次世代内航船の研究開発が行われており、今後とも船舶運航の高速化、高度化が進展することが予想される。
(3)内航船員数は、減少の一途をたどっており、過去10年間で4割弱の減少となっている。また、その年齢構成もいわゆる逆ピラミッド型で船員の高齢化が顕著となっており、若年船員を確保し将来にわたって安定した労働力を確保することが重要な課題となっている。
(4)なお、船員の労働時間に関する国際的な枠組みも視野に入れる必要があり、国際労働機関( )においては、船員の労働時間について、 ILO 最長労働時間(24時間につき14時間以内及び7日間につき72時間以内)又は最短休息時間(24時間につき10時間以上及び7日間につき77時間以上)のいずれかによること等を内容とする「 船員の労働時間及び船舶の定員に関する条約」が昨年発効しEUでは 、当該条約に基づく、PSCも行われることになっている。
(5)このように内航を取り巻く状況が変化していることから、これに的確に対応し、内航海運の持続的発展と活性化を図るため、内航船の乗組み制度の見直しが求められている。このため、次世代内航海運ビジョンを踏まえ、安全運航を確保することを大前提としつつ、内航海運の公正かつ適正な事業競争環境を形成し、内航船員の適正な労働環境及び労働条件が確保されるとともに、機関部等の技術革新の進展等を踏まえ、効率的な船舶職員の配乗体制の再構築が図られるよう、実態を充分に踏まえて内航船乗組み制度の検討を行い、結論の得られたものから措置していくこととした。
2 検討を始めるにあたっての基本的考え方
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船員の乗組み体制は、船員法における労働時間規制を満たす定員や航海の安全の確保のために必要な員数、船舶職員法における船舶職員配乗基準等を考慮して定められている。そのため、これらの規制については、船舶の航行の安全の確保を基本とし、次の方向で一体的かつ総合的に見直しを行う。
なお、船員法、船舶職員法等に基づく内航船乗組み制度の見直しを行うことに伴い 、外航その他他の分野に係る乗組み制度についても見直しの必要が生ずる場合は、本検討会とは別に、更に検討が必要であることは言うまでもない。
(1)規制の実効性の確保に十分留意しつつ、技術革新の進展や社会経済情勢の変化に適切に対応し、可能な範囲内で規制内容の合理化・弾力化を図る。
(2)労働と生活の場が同一である特殊な労働実態を充分に踏まえて、航海及び船内の安全を確保することはもとより、適正な労働環境を確保する。
(3)機関部等の技術革新の進展等を踏まえ、効率的な船舶職員の配乗体制の再構築を図る。
3 検討概要
平成14年4月19日、内航船乗組み制度検討会を設置し、同年6月20日の第1回内航貨物船部会において、事務局より「内航貨物船乗組み制度(船員法関係)の問題と見直しのための検討試案」と、「内航乗組み制度(船舶職員法関係)の見直しについて」を提示し、議論を進めてきたところである。
(1)まず、議論の進め方として、船内の就労実態について、再度検証した上で議論を深めるべきである、法制度の見直しに当たっては、なぜ現行法が守られないのか、どのような運用実態にあるのか等について関係者間で共通認識を持った上で行うべきである等の意見があった。
(2)労働時間については、内航貨物船の中には長時間労働の実態が見られ、その是正が必要であるとの認識が示される一方、労使合意による最長労働時間及びこれに基づく定員算出の制度の導入に対しては最長労働時間の常態化のおそれがある等の意見が出された。また、定員関係の規制の見直しに当たっては、安全の確保について十分な検討が必要である旨の意見があった。
(3)航海当直体制については、航海当直を行う者は原則として海技資格受有者とすべきであるとの意見が示される一方、船橋航海当直に単独で就くことができる場合を従来以上に限定することは現在の内航貨物船の運航実態にそぐわないとの意見もあった。
(4)機関部船舶職員の配乗基準については、機関関係機器の信頼性の向上、海上交通システムにおける 化の進展 IT に伴った陸上・船外からの支援体制が整備されつつある現状に鑑み、機関関係業務の実態に即した見直しが必要との意見があった。
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(5)これらを含む昨今の内航貨物船の運航実態を踏まえて、雇入職名について兼務を認めるべきとの考え方に対しては、単なる実態の追認となる兼務は認めるべきでないという意見や、機関区域無人化船等であれば、さらには、労働時間規制が遵守されれば兼務を認めるべき等の意見があった。
(6)さらに、航行区域については、漁船の輻輳する沿海より外側の区域を航行した方が安全であること、船舶の大型化・自動化・高速化が進展していること等から沿海区域拡張の観点での見直しは必要である、沿海区域における海技資格無受有者の航海当直問題に対処すべきである等の意見があった。
4 実態調査等
内航貨物船の業務実態を把握し当部会での議論を深めるため、昨年10月に当部会として「船内就労状況実態調査」を実施した。その分析結果の概要は次のとおりである。また、全日本海員組合は、昨年12月独自にアンケート調査を実施し、恒常的なオーバーワークとなっている、現場は体力の限界である等の調査結果を得たとの報告が行われた。
(1)1日あたりの船員(船長を除く。)の延労働時間は、8時間以下の日が3日間で延
べ688人日(32%)にすぎず、8時間を超える長時間労働の日が延べ1440人日(68%) と相当の部分を占めており 、14時間を超える日も延べ92人日(4%)あった。
(2)甲板部乗組員の1日の業務は、その大半が甲板業務に当てられている。
(3)機関部乗組員の1日の業務は、機関出力が小さいほど機関以外の業務に当てられる割合が増えており、750 以 KW 下では1日の業務の半数近く(44%)が機関以外の業務に当てられている。
(4)使用燃料油別の機関部乗組員の業務については、全体的にはC重油を使用している船舶は整備作業に当てられる時間が長く、A重油を使用している船舶は機関監視作業に当てられる時間が長い。総労働時間については、顕著な差は見られない。
(5)なお、海難審判庁裁決によれば、海技免状非受有者が係わった海難の原因として
は、「服務に対する指揮、監督の不適切」、「報告・引継の不適切」が相当部分を占めていることが示された。
5 上述の検討内容及び船内就労状況実態調査の結果を踏まえ、平成15年3月25日の第5回内航貨物船部会において、事務局より上記「内航貨物船乗組み制度(船員法関係)の問題と見直しのための検討試案」等を一部修正した「内航貨物船乗組み制度見直しの基本的考え方(案)」が示され、これに基づいて議論が行われた。
6 見直しの概要
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以上のような経過を踏まえて、多くの船舶にみられる船員の恒常的な長時間労働の実態を是正し、定員のあり方も含めて規制内容の合理化、弾力化を図る一方、船橋航海当直体制の強化等により、航海の安全性等を向上させるとともに、機関部の技術革新の進展等を踏まえ、一定の条件の下に兼務労働を認める等効率的な配乗体制の再構築を図ることを基本として、次の通り内航貨物船乗組み制度の見直しを行うこととする。
(1)労働時間・定員等関係
① 労働時間規制
ア 1日8時間、基準労働期間について週平均40時間制は、維持。また、週平均40時間制を担保するための補償休日制も維持。
イ アを前提とした上で、時間外労働については、労使合意がない限り、これを認めない(ただし、現行船員法第64条1項の「臨時」の労働のうち、船舶の安全航行の確保に係るもの(=「安全臨時労働」とする)及び同条第2項の「特別」の場合は、除く 。)。
ウ イの労使合意がない場合には、時間外労働は認めず、すべての海員について、いかなる1週間(連続した7日間)についても、最大でも56時間(=1日8時間×7日)を超える労働を禁止する(ただし、安全臨時労働及び法第64条2項の「特別」の場合は除く 。)。
エ イの労使合意がある場合には、すべての海員について時間外労働も含めて、いかなる1週間(連続した7日間)についても、最大でも72時間(1日あたり14時間)を超える労働を禁止する(安全臨時労働は除く 。)。 また、この場合、1日当たりの最大労働時間は航海当直基準に準じて14時間とする。
なお、通達で4週間あたり(1ヶ月あたり)の労働時間の上限を定める。
オ 安全臨時労働を含めて時間外労働については、割増手当を支払う。
カ 労働時間の定義については、航海当直、保守管理、荷役作業、事務作業、食料の調達供給、清掃等を列挙しその明確化を図る。
キ 1週間につき最大の労働時間を遵守させるための担保規定を置く。
② 定員規制
ア 労使合意の有無にかかわらず、1日8時間、週平均40時間を前提とした「標準定員」(相対基準) 、最低限船舶の安全運航確保を要求する「安全最少定員 (絶対基準)」の両者を規定し、後者のみを強行規定とする。
イ 「標準定員」については、登録公認等による電子データの蓄積等を勘案して設定する。標準定員を割り込む乗組み体制の船舶については、その程度によって、必要に応じ、当該船舶所有者に通告した上でいわゆるブラックリスト又はグレーリストに掲出し、船員労務官による頻繁な監査を行う。
③ 業務繁閑船
ア 2年更新制とし、実態が異なる場合は取り消す。
イ 新規指定を行うにあたっては、新たに事業場への監査等も含め厳しい審査を行う。
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ウ 業務繁閑船に対する特別監査時期を設定し、定期的・集中的に監査を実施。
④ 家族船の運用の厳格化
⑤ 雇入契約の届出
ア 雇入契約については、公認制を届出制に改めるとともに、届出が受理されるまでは、出航を認めないこととする(官庁が閉庁である等のやむを得ない場合は事後届出を認める。)。
イ 届出は、形式的に法令等の違反がない限り、受理する。
ウ 届出制導入までの間の措置として、登録公認、その他電子化等により、申請者の負担軽減を推進する。
エ これにあわせ、指定市町村を大幅に縮小するとともに、指定市町村に対し定期的に監査を行い、運用が不適切な市町村の指定を取り消す等の措置を講じる。
⑥ 船員労務官による段階的是正措置の導入
次のように船員労務官による段階的な是正措置の導入を行う。
ⅰ)文書による指導、
ⅱ)指導に従わない場合には、文書による勧告
ⅲ)勧告に従わない場合には、船舶所有者等の氏名の公表
ⅳ)更に是正されない場合には、是正命令の発出
Ⅴ)是正命令に従わない場合には、罰則の適用
さらに、航行停止命令についても、最低限の人員が乗組んでいないとき等は即時に発動できるように要件を定める。
⑦ 規制の事後チェック
ア 船員労務官の業務の効率化、重点化
船員法等の違反事項について、第三者からの申告等を含む申告等を受けた場合に、違反事実の是正と防止に向けて所要の監督が行えるよう申告制度の運用方法の充実強化を図るとともに、具体的な監査手法について習得する。また、監査情報照会システムの活用によるブラックリスト方式の実施、当該システムと登録公認データとのリンク等による船上でのチェック内容の充実強化を図る。
イ 書類の記載方法の見直し
⑧ 船員災害防止対策優良モデル事業者認定制度の創設
⑨ 労働条件の明示の徹底
船員が自分の休日・休暇、労働時間、賃金等の労働条件について、明確に認識して就労することを徹底するため、船舶所有者による労働条件の明示のあり方等について、運用方法の充実強化を図る。
⑩ 船内供食のあり方
船内供食のあり方は、労働環境の改善を図っていく上での重要な課題の一つであ
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り、今後別途検討していくこととする。
(2)資格制度を中心とした航行安全関係
① 船橋航海当直
ア 航海当直の人数については、現行規制を維持。
イ 航海当直を担当する乗組員は、海技免状受有者(6級(航海)以上)でなければならないこととし(ただし船舶職員であるか否かを問わない。以下同じ 。)、複数で航海当直を行う場合は、少なくとも、そのうち1名は海技免状受有者でなければならないこととする。
② 船舶技術の進展や業務実態を踏まえた配乗基準の弾力化
船舶技術の進展や業務実態を踏まえて、甲板部、機関部等の兼務を中心として対応することとし、具体的には別紙のとおりの取扱いとする。(なお、スーパーエコシップ等の将来的な技術革新に対応した合理化については、今後検討。)
兼務の者に対する各種資格取得のための履歴のカウントは、記載された職名ごとにそれぞれ乗船期間をカウントする(ダブルカウントをする 。)
③ 配乗表に係る航行区域
三直体制を原則とした限定近海に相当する航行区域(沖縄関係は除く。)に係る配乗表を新たに設ける。
この場合、1 600トン以 , 上の船舶の甲板部には、航海当直基準に対応した万全な船橋航海当直体制の確保を図るため、法定職員の他に船舶職員(航海士)又は海技免状受有者である甲板部員を乗り組ませるなど所要の措置を講じることとする。
なお、先島圏域を含む沖縄関係の取扱いについては、別途検討の場を設け、引き続き航行の実態等も踏まえ慎重に検討することとする。
④ その他
ア 1600トン以上の内航船に係る資格レベルの緩和を図る。
イ さらに、3級以下の受験資格の大幅な要件緩和や、① イの円滑な実現に向け、講習受講者に対する試験免除による甲種部員の6級(航海)取得促進のため措置などを講じる。
トン | 近海 | 限定近海 | 沿海 | 平水 | |||||||
船長 | 一航 | 二航 | 三航 | 船長 | 一航 | 二航 | 船長 | 一航 | 船長 | 一航 | |
∞ | 1級 | 3級 | 4級 | 5級 | 3級 | 4級 | 5級 | 3級 | 4級 | 4級 | 5級 |
5000未満 | 3級 | 4級 | 5級 | 5級 | 4級 | 5級 | 5級 | 3→ 4級 |
4→ 5級 |
||
1600未満 | 3級 | 4級 | 5級 | ー | 4級 | 5級 | 5級 | ー | |||
500未満 | 4級 | 5級 | ー | ー | 4級 | 5級 | ー | 5級 | 6級 | ||
200未満 | 5級 | ー | ー | ー | 5級 | ー | ー | 6級 | ー | 6級 | ー |
注1:網掛け部は、資格要件が緩和される部分
注2: ① イのとおり、航海当直者は海技免状受有者となるため、例えば沿海499トン型であっても、三直が必要な船舶には、必要な海技免状受有者の員数を別途確保しなければならないこととなる。
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kW | 近海 | 限定近海 | 沿海 | 平水 | |||||||
機関長 | 一機 | 二機 | 三機 | 機関長 | 一機 | 二機 | 機関長 | 一機 | 機関長 | 一機 | |
∞ | 1級 | 3級 | 4級 | 5級 | (3級) | (4級) | (5級) | (3級) | (4級) | (4級) | (5級) |
6000未満 | 3級 | 4級 | 5級 | 5級 | (4級) | (5級) | (5級) | 3→ (4級) |
4→ (5級) |
||
3000未満 | 3級 | 4級 | 5級 | ー | (4級) | (5級) | 5級 | ー | |||
1500未満 | 4級 | 5級 | ー | ー | (4級) | (5級) | ー | (5級) | (6級) | ||
750未満 | 5級 | ー | ー | ー | 5級 | ー | ー | 6級 | ー | 6級 | ー |
注1:網掛け部は、資格要件が緩和される部分
注2:( )内は、一定の船舶 については、 (例えば、船舶機関規則に基づく機関区域無人化船など)専任の職員1名を除き、甲板部職員と兼務可能となる部分
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(別紙)
部門間の兼務について
1.船員法上の部門間の兼務について
( 1 ) 雇入契約の公認(届出)の際、労働協約又は就業規則において、次の事項を含め労務管理が適切に行われている船舶所有者の運航する船舶のうち、次の事項を満たしているものについて、6ヶ月間程度の期間を暫定的な兼務雇入れとして認める。
① 所定の労働時間が遵守されていること(兼務による労働が通常の労働時間に組み込まれているものに限る 。)。
② 航海当直基準に基づき適正な航海当直体制が維持されていること。機関は、少なくとも専任の担当の者がいること(1人分を超える通常の作業量がある場合には必要な人数がいること 。)
③ 機関部乗組員が兼務で船橋航海当直中に緊急に機関部で作業を行う必要が生じた際に、船橋航海当直体制の継続に支障が生じないよう、当該機関部乗組員に臨時に交代する者(所要の免状又は資格を有する者に限る。)が 用意されていること等非常時の補助体制が確立していること(当該交代者による臨時の船橋航海当直は安全臨時労働とする 。)。
なお、その他、機関部乗組員が荷役を行う等航海当直体制に直接影響しない場合には、所定の労働時間が遵守されていること(兼務による労働が通常の労働時間に組み込まれているものに限る。)を前提に認める。
(注) 通常の雇入れ契約公認(届出)時の関係書類に加え1週間程度のローテーション表及び非常時の補助体制表を提出させ、上記事項をチェックする。
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(2) 暫定期間終了後、船員労務官が検査を行い、労働時間が遵守されている等上記要件を満たし、十分に運用可能な場合は、兼務雇入れを認める。
(3) 2年更新とする。ただし兼務の継続が不適当と判断される場合は中止とする。
なお、当該兼務に関わる雇い入れ関係手続は地方運輸局のみで行うこととし 、指定市町村では取り扱わない。
2.船舶職員法上の法定職員間の兼務について
法定職員間の兼務ができる船舶は、船員法上の兼務を認められたもので
あり、かつ、官公労使からなる部門間兼務検討部会(以下「部会」という。)(3.を参照)の検討を踏まえた一定の要件を満たすものであると地方運輸局長が確認したものに限ることとし、これらの船舶にあっては、専任の機関部法定職員1名を除き、他の機関部法定職員が甲板部法定職員(船長を除く )を兼務することができることとする。 。
(注)一定の要件としては、次の事務局案が示されているが、具体的な要件については、部会が実証実験のなかで詰めていくこととする。
① 航行中の機関整備作業が大幅に軽減されている船舶
a.機関区域無人化船又は警報装置付きのA重油専焼船であること。
b.簡易衝突予防装置付きレーダー、GPSなどの航行援助装置等を有する船舶であること。
c.機関部の専任の職員がいること。
② 短距離を航行する船舶であり、かつ、陸上支援があるもの
a.大半の航海が、8時間以内の航海であるもの
b.通常船内で行う軽微なメンテナンス以外のメンテナンスは、陸上の支援により確実に行える体制が確立されていること。
c.機関部の専任の職員がいること。
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3.今後の進め方
(1) 上記について、次のような実証実験を行い、部門間の兼務が運用可能であることを確認の上、実施に移行するものとする。
① 全体管理
部会において 、実証実験の設計、実施及び評価に係る全体管理を行う 。
② 実施方法
イ 大型船(750トン以上)及び小型船について、実験参加に応募した船舶から数隻程度を選定する。
ロ 船員法上の兼務雇入れに係る実験を基本としつつ、部会が実験可能と判断できる船舶があれば、上記に加えて、法定職員間の兼務についても実験を行う。
③ スケジュール
概ね以下について年度内に実施することとし、具体的には部会で決定する。
○ 部会設置
○ 実験の準備設計及び船舶の募集選定
○ 実験の実施及び評価
( 2 ) 部会においては、部門間の兼務制度が適正に運用されているかどうかのフォローアップを行うとともに、その結果によっては、部門間兼務を認めるに当たっての要件の見直しのための検討を行う。また、必要に応じて、船員労務官の上記1.(2)の検査結果の概要を部会に報告させるものとする。
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