内航海運の活性化に向けた今後の方向性検討会 中間とりまとめ (早急に着手すべき取組)

内航海運の活性化に向けた今後の方向性検討会:『内航海運の活性化に向けた今後の方向性検討会 中間とりまとめ(早急に着手すべき取組)』,2016年7月

内航海運の活性化に向けた今後の方向性検討会
中間とりまとめ
早急に着手すべき取組)

平成28年7月

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目 次
1.はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
2.内航海運の今後の方向性の検討に向けて・・・・・・・・・・ 2
2.1 過去10年間における内航海運を取り巻く状況の変化・・・ 2
2.2 内航海運の現状に関する関係者の問題意識・・・・・・・・ 3
2.3 検討の方向性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
3.内航海運の活性化に向けて早急に着手すべき取組・・・・・・ 6
3.1 産業構造強化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
3.2 船員確保・育成・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
3.3 船舶建造・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
3.4 業務効率化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
3.5 新規需要獲得・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
4.今後の進め方について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13

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1.はじめに

内航海運業は国内物流の約4割、産業基礎物資輸送の約8割を担う我が国の経済活動と国民生活を支える大動脈として重要な産業であるが、 船舶と船員の2つの高齢化、中小企業が99.7%を占める脆弱な経営基盤への対応など、様々な課題を抱えている。
こうした中、2015年7月の交通政策審議会海事分科会基本政策部会取りまとめにおいて、これらの課題に対し、「新たな環境への適応を見据え、どのように効果的な解決へとつなげていくことができるか、行政や事業者団体等の関係者間で議論・整理を行い、取り組むべき方向
性を検討することが必要」との方向性が示された。
一方、国土交通省では、あらゆる分野で生産性の抜本的向上を図るための具体的取組を進めるべく、本年3月に「国土交通省生産性革命本部」が立ち上げられ、また、物流分野においても効率化・省力化による生産性向上を目指していくこととなっている。
内航海運においても、我が国の産業全体を物流の面から着実に支えていくとの視点に立ち、自らの事業のあり方を見つめ直し、安全・良質な輸送サービスを持続的に提供できる産業として発展していくことが求められている。同時に、荷主等の関係者においても、人口減少・少子高齢化の進行等による我が国の国内貨物輸送量の減少、労働力不足の顕在化を踏まえ、事業者による取組のみならず、物流を維持・発展させていくとの観点から、荷主等と事業者間の関係者間で相互に一層連携していくことが重要である。
そこで本検討会においては、概ね10年後の内航海運の姿も見据え、これまでの取組の延長線に留まらず、あらゆる観点から、今後の内航海運のあるべき姿と、それに向けて関係者が取り組むべき方向性について、幅広い関係者による議論を通じて検討するものである。
その上で、内航海運業界及び関係者との意見交換等を通じて既に明らかになっている課題については、早急に着手すべき取組に関し議論を行い、その結果を本中間取りまとめとして整理したものである。

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2.内航海運の今後の方向性の検討に向けて
2.1 過去10年間における内航海運を取り巻く状況の変化

2002年4月にとりまとめられた「次世代内航海運ビジョン」を踏まえ、2005年4月に改正内航海運業法が施行されてから、10年以上が経過した。
この間、長期にわたるデフレ経済等の影響もあり、内航海運の輸送量は約13%(トンベース、トンキロベースともに)、事業者数は約21%(オペレーター、オーナーの合計)、隻数は約14%といずれも減少する一方で、老齢船比率は約25%拡大した。
事業者構成に関しては、オペレーターが約8%の減少であるのに対し、オーナーの減少は約30%を超えており、老齢船比率の拡大、高齢船員の増加、用船料の減少も含め、オーナーを取り巻く経営環境は大きく変化を遂げてきている。
また、内航貨物船の船員数は約7%減少し、50歳以上の船員の割合は約5%減少しているものの、60歳以上の船員の割合は約2倍に増加している。一方で、30歳未満の船員の割合は約7割増加している(2006年:1,596人(7.3%)→2014年:2,652人
(13.1%))。
さらに、事業者の収入源である運賃・用船料については、ここ数年、運賃が横ばいであるのに対し、用船料は低下している。
一方で、荷主のニーズはますます多様化しており、大量輸送という海上輸送の特性についても従来の状況から変化が見られ、1航海あたりの輸送ロットは年々減少傾向を示している。
また、改正内航海運業法施行後、最大で600億円を超える累積債務のあった内航海運暫定措置事業も、今後の道筋がある程度見通せる状況となりつつあるなど、次の10年に向けた動きもみられるところである。
こうした状況の変化を踏まえ、内航海運が安全・良質な輸送サービスを持続的に提供できる産業として発展していくためには、官民、荷主と事業者といった関係者が連携しながら、今後、内航海運が目指す姿について議論を進めることが求められている。

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2.2 内航海運の現状に関する関係者の問題意識

現在の内航海運事業に対する評価、今後のあるべき姿(期待)などを把握するため、主要荷主団体、荷主企業、造船業界、金融機関、内航海運事業者との間で個別に意見交換を実施した。
意見交換の結果を踏まえた関係者の主な問題意識は以下のとおり。

  • 新規参入者やオーナーの参画による自由競争の促進のためには、オペレーターとして荷主に安定的にサービスを供給することができる程度の財務基盤の強化、船隊整備(複数隻の確保)が必要。
  • コストをペイできる持続可能な事業形態とするためには、船舶の大型化による1人あたり輸送トン数の増加を図り、人材資源を含めた効率的な運航が必要。
  • 2次、3次オペレーターの役割や機能が変化していることを踏まえて目指すべき産業構造を検討することが必要。
  • オペレーターが荷主と適正に交渉できるような産業構造にしていくことが必要。
  • オーナーのグループ化・集約化に関し、スケールメリットのみならず、例えば、経営上共通の目的を持つ者とのグループ化といった質的な意義づけにも留意して進めていくことが必要。また、オペレーターの役割との関係も検討が必要。
  • 中小零細のオーナー個々の対応では限界のある予備船員を含めた船員の確保やスキルアップ等を複数者が共同して取り組む等、船員不足に対応した相互扶助的な船員確保・育成が必要。
  • 若年船員や経験年数の浅い船員を含めた船員の安定的確保や業務効率化のためには、船員の作業省力化に配慮し、運航・荷役に係る商習慣・設備を改善することが必要。
  • 業務効率化に向け、積載率の向上や航行経路に係る弾力的な取扱いを図るとともに、運航支援システム等の導入や、船舶機器の陸側監視、リアルタイムの船体動静データの把握による安全性の向上など、IT 技術の積極的な活用を進めていくことが必要。
  • オペレーターの船隊構成に関し、荷主側の専用バースの設備(荷役設備含む)、貯蔵能力、出荷体制、作業体制等の改善(統一化)などに留意して、荷主も含めた計画的な代替建造を行うことが必要。

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  • 新造船に加え、既存船に対する省エネ対策の促進が必要。
  • 内航海運の輸送の特徴としては、例えば、雑貨等の輸送形態はセミトレーラーやコンテナ等を用いた大ロット対応型であり、多頻度少量の輸送形態に対応した陸上輸送とは1回あたりの輸送ロットが異なっているといった実態にも留意して検討することが必要。

2.3 検討の方向性

内航海運の今後のあり方を考えるにあたっては、中・長期的視野に立った社会経済状況の変化を見据えた検討が必要である。
今後、人口減少・少子高齢化の進行等による内需の縮小が懸念され、産業基礎物資輸送の大幅な増加が見込みにくい状況にあること、内航海運の担い手の確保もより厳しさを増すことを考え合わせると、内航海運の概ね10年後の姿を見据えていこうとする場合、従来の枠組みにとらわれないような知恵を官民の協力・連携の下で検討していくことが求められる。
このため、内航海運の現状と、その抱えている課題やニーズは多岐にわたっており、内航海運の活性化に向けた今後の方向性の検討に向けて、それらを整理し、論点を明確にしながら議論を進めていくことが重要である。
本検討会において、委員からは、民間企業における事業活動と、国の政策としての支援のあり方の区分を明確にする必要がある、また、設備投資や人的投資などの投資リスクの適切な分担を考慮する必要がある等の意見が示されている。
検討にあたっては、まず、内航海運業界及び関係者との意見交換等において提示された問題意識を踏まえ、検討すべき課題を次の5つに区別して設定した。

①産業構造強化
②船員確保・育成

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③船舶建造
④業務効率化
⑤需要獲得

そして、これらの各課題について、早急に着手すべき事項を取りまとめることとする。
さらに、概ね10年後を見据えた内航海運のあるべき姿については、引き続き議論を深めていくこととする。

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3.内航海運の活性化に向けて早急に着手すべき取組
3.1 産業構造強化

内航海運業が安全・良質な輸送サービスを持続的に提供できる産業構造にしていくためには、サービス水準が高く、荷主等と対等な運賃交渉等ができるオペレーターの育成、船舶等の再投資が可能な体力の強い船団の育成などが必要と考えられる。
これらを達成するにあたっては、船種(荷主)の実態を踏まえながら、事業者の投資を支える仕組みやオーナーの経営力の強化方策、オペレーターや船舶管理会社のあり方の再検証を行う必要がある。

① 早急に着手すべき取組

上記の検討のためには、まず、現状の内航海運業界や市場の姿を正確かつ客観的にとらえることが必要である。
このため、内航海運事業者の事業実態をできるだけ客観的かつ網羅的、正確に把握するため、全内航海運事業者を対象とした経営実態調査を実施する。その際、以下のようなことが把握できる内容とすることに留意する。
船舶の運航実態、契約実態、メンテナンス作業や荷役作業などにおける船員の労務実態はどのようになっているのか。
荷主とオペレーター、オペレーターとオーナー、オーナーと造船事業者などの事業者同士の関わりの中で形成されている各市場において、事業者が企業行動を起こすために、どのような
情報に注目して意思決定をしているのか。

② 留意事項

上記の早急に着手すべき取組に関し、委員から、今後、中・長期的な内航海運のあり方について議論を進めていくにあたっての留意点として、以下の意見も提示された。

  • 船舶と船員の高齢化のみならず、オーナーの高齢化も深刻な状況であり、内航海運の産業としての持続的発展の観点から、後継者の確保等を含め、効果的な対応を検討していく必要があるのではないか。

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  • 官と民の役割分担を見定め、官において産業構造強化策として重点的に措置する分野として、どのようなものがあるのか、あるいは、民での取組に任せておくべき分野として、どのようなものがあるのかを議論する必要があるのではないか。

3.2 船員確保・育成

我が国は本格的な人口減少・高齢化社会を迎えており、生産年齢人口は、2030年には現在の約80%、2060年には現在の半分近くまで減少するおそれがある。
内航海運の輸送は、一定の知識、経験を必要とする技能労働者(船員)によって支えられていることから、こうした社会全体の人口構造の変化がより顕著に現れてきている。具体的には、内航海運における船員の年齢構成では、半数が50歳以上で占められ、60歳以上の割合も25%を超えるまでになっている。
こうした状況を踏まえ、海の魅力のPRによる船員志望者の裾野の拡大、 (独)海技教育機構をはじめとする様々なルートからの就業機会の拡大、内航海運業界の船員の確保・育成体制の強化等に取り組むことが必要である。

① 早急に着手すべき取組

今後、高齢船員の大量離職に伴う担い手不足が生じないよう、十分な数の若年船員を確保・育成することが必要である。
このため、船員供給体制の強化を図る観点から、商船系高等専門学校からの就業機会拡大のための内航海運事業者との面接機会の拡大や、一般高校卒業者など船員養成機関を卒業していない者が短期で海技資格を取得可能な制度の拡充、船員の業務負担軽減に資する取組等について検討する必要がある。

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また、船員の確保・育成体制に係る事業者間の連携の促進のため、船員派遣制度の活用を促進することとし、そのために支障となっている課題の改善について検討する必要がある。
併せて、連携して船員の確保・育成に取り組む事業者に対する支援措置について検討する必要がある。

② 留意事項

上記の早急に着手すべき取組に関し、委員から、今後、中・長期的な内航海運のあり方について議論を進めていくにあたっての留意点として、以下の意見も提示された。
荷物量、船舶数、船員数に係る今後の見通しを踏まえた議論が必要ではないか。
(独)海技教育機構の定員の拡大は、引き続き必要ではないか。

3.3 船舶建造

安全・良質な輸送サービスの持続的な提供に向け、将来的な輸送需要等をできるだけ見極めるとともに、投資リスクを適切に分担し、計画的に船舶の建造を進めるために効果的な方策を考える必要がある。

① 早急に着手すべき取組

安全・良質な輸送サービスを持続的に提供するためには、計画的な船隊の維持・拡充を進めていくことが求められる。このため、(独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構の共有建造制度のほか、船舶の建造に係る海運事業者への誘導・支援措置を活用した取組を検討していくことが必要と考えられる。
さらに、効率的な輸送活動に資する点からも、

・ 船舶用省エネ機器(低燃費ディーゼル主機、プロペラ機器、舵、低摩擦型塗料等)
・ 気象海象予報サービスと連携した運航支援システムや効率的な配船計画の策定支援システム

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等の燃料消費量の削減による省エネ効果等が期待される機械・設備の導入を促進することが重要である。なお、これらの導入等にあたっては、新造船のみならず、既存船も含めて効果的に進めていくための支援方策を検討する必要がある。
また、船員の労働環境の改善への対応が求められていることも踏まえ、省エネのみならず、人と環境に優しい船の導入についても支援方策を検討する必要がある。

② 留意事項

上記の早急に着手すべき取組に関し、委員から、今後、中・長期的な内航海運のあり方について議論を進めていくにあたっての留意点として、以下の意見も提示された。
船種(荷主)、用船形態、事業規模により異なると考えられるが、既にある程度荷物が安定しているような業界では、実質的にオペレーターが一定の役割を担ってオーナーと調整し、代替建造を計画的に進めており、オーナーの投資やリスク分散ができている。
オペレーターといっても多様であることから、一概にオペレーター主導による計画的な代替建造を進めていくことは難しいと考えられるため、オーナーの経営力の強化・育成も重
要と考える。
中古船舶の取引をしやすい環境の整備を図ることも必要ではないか。
なお、内航海運における省エネルギー化の推進に向けて、事業者が省エネルギー効果や費用対効果を把握し、省エネルギー投資に踏み切れる環境を整備していくことも重要である。本年6月に取りまとめられた「内航海運の省エネルギー化の促進に関する検討会」報告書においては、省エネルギー効果を「見える化」する「格付け」制度の創設が提言されており、当該制度の具体化のための検討が求められている。

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3.4 業務効率化

今後も人口減少・高齢化が進み、物流産業全体として担い手不足が継続することが予測される。このような状況下で、安全・良質な輸送サービスを持続的に提供し、さらに、荷主をはじめとする日本産業全体の成長に貢献するためには、更なる技術開発や荷主と連携した集荷による運航効率化、安全性を前提とした運航・荷役作業等の合理化等による作業時間縮減や運航体制の見直しなど、ハード・ソフト両面で効率化・省力化を図り、生産性を向上していくことが求められる。

① 早急に着手すべき取組

“待ち”時間の解消、稼働の向上を進めるため、業務効率化・コスト削減に効果的な既存の設備・機械等の導入を促進するための支援方策を検討する必要がある。
具体的には、

  • 気象海象予報サービスと連携した運航支援システムや効率的な配船計画の策定支援システム
  • 石油・ケミカル等におけるローディングアームやディープウェルポンプ

等の運航時や荷役・離着桟作業時の効率性を高めるとともに、環境負荷低減を図る効果が期待される設備・機械等の導入を効果的に進めるための支援方策が挙げられる。
なお、内航業界においては、本年6月より「航海中待機時間に関する調査検討会」を立ち上げており、その状況にも留意して支援方策を検討することが必要である。

② 留意事項

上記の早急に着手すべき取組に関し、委員から、今後、中・長期的な内航海運のあり方について議論を進めていくにあたっての留意点として、以下の意見も提示された。
内航サービスの水準向上に関して議論するにあたっては、時

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には安定供給などを優先するために非効率な配船が求められる場合もあることに留意すべき。
荷待ち時間解消に関して議論するにあたっては、それによって船員の労働時間が過重にならないように留意すべき。
陸上輸送モードとの競争に勝ち残るとの視点から、安全性を確保した上で、モデル的に、究極に船員の待遇改善、労働の軽減などを追求した船舶の実証を行うことが出来ないか。
オペレーターとの定期用船契約では、船員に対し荷役を行わせないことになっているが、実態としては、全て船員側に押しやられ、費用分担もあいまいな状態である。また、メンテナンス作業についても、分担があいまいな状態である。このような点について、荷主、オペレーターも含めた議論が必要ではないか。

3.5 新規需要獲得

昨今、貨物トラックの運転手の不足等に伴い、モーダルシフトによる海上輸送の利用の動きが生じているが、こうした外部環境の変化を逃すことなく取り込むことが必要である。このため、従来、トラックが活用されている貨物でも海上輸送に転換をしやすいよう、例えば、1回あたりの輸送量が少量である貨物に対応したサービス(小口混載輸送)を提供することなどが考えられる。

① 早急に着手すべき取組

内航海運においては、現状では、運航航路やダイヤ等の情報は各社HPや直接の問い合わせ等で確認しなければ判然としない状況であり、そのことが海上輸送の潜在的利用者獲得の機会損失の一因にもなっていると考えられる。このため、新規荷主(潜在的利用者)の利便を考えた、RORO船・コンテナ船、フェリー等の業界横断の新規需要獲得に係る連携体制や一括情報提供サイトの構築を検討する必要がある。

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② 留意事項

上記の早急に着手すべき取組に関し、委員から、今後、中・長期的な内航海運のあり方について議論を進めていくにあたっての留意点として、以下の意見も提示された。
貨物トラックにおいては、現在、小口の長距離輸送のドライバーが不足しているが、これらの小口貨物が海上輸送に移る場合の輸送形態としては、雑貨船やRORO船がメインになると思われる。一方で、荷主側としては、雑貨船について荷扱いや降雨時の荷役に懸念を持っている。
複数の荷主が荷物の共配や集約化を進めて、海上輸送に移行しようとする場合、どの荷主がどの船舶でどのようなニーズで運んでいるのかという情報が必要となるが、メーカー同士で契約を結び情報をやり取りするレベルでなければ情報が得られない。このため、官から情報共有化に関する何らかの後押しをしてもらえないか。

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4.今後の進め方について

本中間とりまとめにおいては、①産業構造強化、②船員確保・育成、③船舶建造、④業務効率化、⑤需要獲得の5つのテーマについて、早急に着手すべき取組を整理したところである。
今後の本検討会においては、中・長期的に目指すべき取組の検討に向け、まず、概ね10年後の社会経済情勢の見通しを踏まえた内航海運業のあるべき姿から議論を行うことが必要と考えられる。
その際、内航海運業の構造改革を進める上で一定の機能を果たしてきた内航海運暫定措置事業について、今後の道筋がある程度見通せる状況となりつつあることを踏まえた検討を行うことも重要である。
また、内航海運業を取り巻く諸制度全般についても、内航海運が安全・良質な輸送サービスを持続的に提供し、我が国経済社会・国民生活を支える輸送主体として将来に希望を持って発展し得るよう、果断に見直しを行っていくことが重要である。
加えて、今後の内航海運において、新しい技術やシステムなどを活用したイノベーション的な動きを促進するような方策も検討することが必要と考えられる。
このため、本検討会としては、今後、さらに内航海運業及びこれを取り巻く環境の変化についての実態の調査・分析も行いつつ、こうした観点から議論を深めていくこととする。

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内航海運の活性化に向けた今後の方向性検討会 委員等名簿

(敬称略)

(学識経験者)

(座長)竹内 健蔵    東京女子大学現代教養学部教授
河野 真理子   早稲田大学法学学術院教授
手塚 広一郎   日本大学経済学部教授

(有識者)
中村 俊彦    (株)商工組合中央金庫常務執行役員
眞砂 徹    (一社)日本中小型造船工業会(興亜産業(株)代表取締役社長)
山口 一朗   (独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構理事
(米田 浩)  ((独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構理事)
平岡 英彦    全日本海員組合中央執行委員国内局長

(業界団体)
栗林 宏吉    内航大型船輸送海運組合(栗林商船(株)代表取締役社長)
蔵本 由紀夫    全国海運組合連合会(吉祥海運(株)代表取締役社長)
栗田 克己    全国内航タンカー海運組合(田渕海運(株)取締役常務執行役員)
片方 祐司    全国内航輸送海運組合(日鉄住金物流(株)取締役常務執行役員)
瀬野 和博   全日本内航船主海運組合((有)大福汽船代表取締役社長)

(荷主団体)
壇上 治亨    (一社)日本鉄鋼連盟(製品物流小委員会委員/新日鐵住金(株) 物流部国内物流室長)
大貫 弘義    石油連盟( 内 航 専 門 委 員 会 委 員 長 / JX エ ネ ル ギ ー (株 )物 流 管 理 部 副 部 長 )
芦田 真一    (一社)セメント協会(輸送専門委員会委員/住友大阪セメント(株) 物流部物流グループリーダー)
矢ヶ崎 浩一    石油化学工業協会(内航ケミカル船 WG リーダー/出光興産(株) 化学事業部 物流統轄課 課長)

(オブザーバー)
小原 得司    日本長距離フェリー協会常務理事
三好 京子    経済産業省製造産業局金属課係長 (田村 英康 鉄鋼課課長補佐)
喜多 正人    経済産業省製造産業局素材産業課課長補佐 (和田 有平 化学課課長補佐)
和田本 啓    経済産業省製造産業局素材産業課係長
白石 雅人     資源エネルギー庁資源・燃料部石油精製備蓄課係長
鈴木 裕也     資源エネルギー庁資源・燃料部石油流通課係長 (下平 隼道 石油流通課係長)
細川 希    国土交通省総合政策局物流政策課物流産業室課長補佐
滝川 尚樹    国土交通省港湾局計画課企画室専門官

(国土交通省海事局)
羽尾 一郎    海事局長 (坂下 広朗 海事局長)
永松 健次    海事局次長 (若林 陽介 海事局次長)
七尾 英弘     官房審議官(海事) (内田 傑 官房審議官(海事))
大坪 新一郎    官房技術審議官(海事) (加藤 光一 官房技術審議官(海事))
柏木 隆久    総務課長 (河村 俊信 総務課長)
金子 栄喜     安全政策課長
田淵 一浩    海洋・環境政策課長
髙杉 典弘    船員政策課長
池光 崇    内航課長 (新垣 慶太 内航課長)
宮武 宜史
岩本 泉    検査測度課長
橋本 亮二    海技・振興課長

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内航海運の活性化に向けた今後の方向性検討会開催実績

第1回:平成28年4月8日(金) 13:00~15:00
○内航海運業の現状等
○内航海運関係者との意見交換結果も踏まえた課題
○意見交換

第2回:平成28年5月26日(木) 14:00~16:00
○課題・ニーズを踏まえた早急に着手すべき取組(案)
○意見交換

第3回:平成28年7月1日(金) 14:00~16:00
○中間とりまとめ(早急に着手すべき取組)(案)
○意見交換

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