内航船舶管理基礎講座002「内航における船舶管理の歴史」

内航における船舶管理会社の登場は、2000年前後である。これは、外航海運にISMコード(International Safety Management Code,国際安全管理コード)が導入され、タンカー業界を中心にこのコードを適用した安全管理を内航海運に求めるようになってきた時期と一致する。

ISMコードは、ヒューマンエラーによる事故が増加してきた背景を受け、IMO(International Maritime Organization,国際海事機関)が策定したものであり、SOLAS条約 IX章に取り入れられている。船舶を管理する事業者は、ISMコードに則った安全管理システム(SMS)を構築し、文書化し、実施、維持した上で、旗国政府の審査を受け、適合証書を取得し、船舶には安全管理証書(SMC)を備え置かなければ、外航運輸事業に従事出来ないことになっている。

内航船の場合、ISMコードが適用されないが、内航海運においても、外航海運の動向を踏まえ、荷主としての石油業界の一部が用船するタンカーの安全性の確保及び海洋環境保護のための安全運航管理体制を確立させることを内航海運事業者に求めるようになった。このため、2000年、運輸省(現在の国土交通省)は、任意により申請者が構築した安全管理システムを認証するスキームとして「船舶安全管理認定書等交付規則(運輸省告示)」を制定し、海運事業者の安全努力が企業の競争力向上に寄与しうるように、民間の自主的な取り組みを支援することにより海運分野の安全性の向上を図るとともに、船舶の安全の確保及び海洋の汚染の防止を図ることとした。

この任意でISMコードに準じた船舶管理体制が確保されているかを認証する制度の確立により、内航海運においても、船舶管理に関する注目が高まり、船舶管理会社を設立する動きへとつながったものと考えられる。

参考サイト

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