内航船船舶運航におけるリスク

2016年,新しい年,いかがお過ごしでしょうか。

さて,今回は,安全に関する論文をご紹介します。

リスクって言葉は,聞いたことがあると思います。

業界によって様々な定義があるようですが,ここでは危険性とします。

関西大学 羽原敬二先生は,海上運送事業全体を取巻く主要なリスクとして以下を挙げておられます。

① 船舶運航上のリスク:海難,人身事故などの発生のリスク。またはそれに伴う運航が不能になるリスク
② 自然災害・悪天候リスク:津波,台風などの災害・事故により,人的・物理的損害や機能停止が発生するリスク
③ 情報システムリスク:災害および社内外のヒューマンファクターによる情報システム以上の発生するリスク
④ 労務リスク:円滑な事業遂行に必要な質と量の人員(海技者・陸上員)が確保できなくなるリスク,労務条件関連リスク,ハラスメントリスク,従業員の労働安全衛生(疾病・負傷,薬物依存)リスク
⑤ 法務リスク:法令遵守リスク,会社組織・経営者または役職員が法令や社会規範に反する行為を犯すリスク,各種訴訟リスク,独占禁止法関連のリスク,国内外の公的規制の実施・改廃リスク
⑥ 財務リスク:市況変動,金利変動等によるリスク,取引先倒産による不良債権発生リスク
⑦ コミュニケーションリスク:船長,用船者,ターミナルなどとの情報処理リスク,風評リスク
⑧ 事業戦略リスク:新船の建造,新規事業進出など,経営戦略上の意思決定・判断に関するリスク

さて,皆さんの事業の場合,どのようなリスクがありますか?
船舶を所有する事業者,船舶管理会社,船員派遣会社とそれぞれリスクが異なるものと思います。
船舶管理会社の場合,船主が抱える様々なリスクを回避できるようにすることが,大きなサービスであるといえます。
また,自らの事業におけるリスクと取引先のリスクを考慮した事業経営が事業の継続の鍵を握ると考えられます。
リスクをマネジメントすることにより,今年度も皆さんが事業継続と安全運航を実現できることを願っております。

参考資料

羽原敬二「海上運送事業の安全管理と環境保全」,『海運経済研究』,第41号,2007,1-10ページ参照

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